どうも、YO-PRINCEです。
コール頻回な利用者さんに丁寧に関わるAさんは他の職員さんらから『Aさんが優しすぎるから甘えてコールが増える』と言われていた。
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2018年12月5日
でもAさんのときはコールが少なかった。すべきことをちゃんとしてあげることで利用者さんは安心して寝れるケースもある。#介護にまつわる小さな引き出し
当時のことを思い返しながら、記事を書きたいと思います。
優しい職員は「してあげたい?」「してもらいたい?」「させたい?」
このツイートのAさんは誰がどう見ても優しい介護士さんでした。
きっと丁寧な介護をされているんだろうなと容易に想像できる介護士さんだったのです。
優しいというのは利用者さん側から見れば欠かせない介護士の条件だと思います。
ところが、介護士側から見ると、それは賛否両論。
2000年に介護保険制度というものが始まって、「自立支援」という言葉がしきりに使われるようになってから、現場では「自立支援」という言葉に踊らされている介護士が多く現れたものです(^_^;)
自分で車イスこがんと動けんようなるで~!
寝てばっかりおったら寝たきりになるで~!
もっともなことを介護士たちは叫び始めたのです。
そんななか優しい介護士は違和感を感じていました。
自立支援って優しかったらダメなのか??
その後優しい介護士は二手に分かれていきます。
「してあげたい」介護士と「してもらいたい」介護士です。
ちなみに、自立支援を貫く介護士を「させたい」介護士と名付けることにしましょう。
「させたい」だって、今以上悪くなってほしくないという優しさではあるんですよね。
他にもいろんなタイプの介護士さんがおられると思いますが、「してあげたい」も「してもらいたい」も「させたい」もみんなベースは優しさなんです。
では介護における本当の優しさとは何なんでしょう??
事例で考える『優しさ』の定義
では、優しさについて冒頭のツイートから考えてみます。
この利用者さんは全盲の認知症の方でした。Bさんとします。
この事例は、全盲という点だけ見ても配慮があって当然と考えるような事例だったのです。
全盲という不安から考えれば、コールが頻回になるのも無理ありません。
そう考えるのが自然で、不安のないような対応に努めた介護士Aさんは優しすぎるわけではないことが見えてきます。
当たり前のことをしようとしたまでです。
それでも介護士Cさんからは「優しすぎる」と言われた・・・。
ここまでの話だけで誰が正しいかを判断するには材料不足です。
問題はここからです。
利用者さんへの介助はやりすぎると依存が強まる可能性もあり、介護士Aさんが優しすぎる可能性もあります。
そのため、介護士Aさんがどの程度介助をしているかを知る必要があったのです。
そして、介護士Aさんに確認。
介護士Aさんは「Bさんは自分の時はコール少ないんですよ」と言いました。
介護士Aさんは、就寝時はBさんに確認しながら丁寧に対応していたのです。
どこに何があるかなどの説明をしていたのです。
Bさんは全盲であることから、ティッシュ等の必需品がどこにあるか分からないことがあるので、介護士Aさんは一通り物がどこにあるかをBさんに確認しながらセッティングしていたのです。
ただそれだけのこと。
もちろん少ないとはいえ夜間もコールがあるわけですが、Aさんは都度丁寧に対応をして何が課題なのかをアセスメントしていたおかげで、就寝時に何をしておけばよいのかが見えてきていたのです。
介護士Aさんが優しすぎるからコールが増えているわけではなく、他の介護士のときはたったそれだけのことをしていないからコールが多かっただけなのです。
この事例から介護士Aさんがしていたことは「してあげたい」でも「させたい」でもない。
Bさんに「してもらいたい」優しさ。
介護士Aさんがしていたことは、全盲によりできないところの「環境を整える」ことでBさんに「してもらう」ようにするということだったのです。
介護は共同作業
「優しさ」の定義はどうあれ、介護は優しくないとできないと思います。
ただ「優しさ」のベクトルがみんな違うんですよね。
「してあげる」「してもらう」「させる」。
この3つのベクトルで考えるとすれば、「してもらう」が正しい「優しさ」のベクトルだと思います。
「してあげる」の主体は介護士。
「させる」の主体は利用者。
「してもらう」の主体は介護士と利用者。
介護は共同作業と言われています。
例えば、オムツ交換でもオムツを替えるという行為はほとんど介護士がするんですが、利用者さんにお尻をあげてもらったりして、オムツ交換が楽になることがあります。
全介助の利用者さんであっても、長く側臥位を保ってもらうということも利用者さんの協力なしではできない行為です。
そうしたことが介護は共同作業と言われる所以です。
共同作業である「してもらう」は、利用者に「してもらう」ために介護士が手伝うというイメージですね。
介護士がすることは、まず第一に物的な環境整備!
これこそが真に優しい介護士で、冒頭ツイートの介護士Aさんはさらりとそれをやってのけていたということです!
「してもらう」は共同作業なので、利用者さんもしてもらって「ありがとう」ですし、介護士もしてもらって「ありがとう」(^_^)/
介護士も利用者さんもお互いに楽できるんですね!
利用者さんに「ありがとう」と言えるような介護をしたいものですね!
まとめ
介護士にとって必要な優しさは、「してもらう」という共同作業ができること。
まずは利用者さんが一人でもできる環境を整えること。
そして、理想としては、介護士がする量が減らしていくことができれがよいんですが、ここで注意しなければいけないことが、利用者さんが依存できるところを残すぐらいの余裕を介護士が持っておいたほうがよいということ。
そのほうが結果として利用者さんは自然と頑張れるものです。
求められ過ぎたらしんどいですからね(^_^;)
理想は、利用者さんと介護士ともに楽が出来る介護であり、お互いに「ありがとう」が言えるような介護です。
勿論、そんな理想がうまくいくことばかりでないのが介護ですが、そうした実践が可能な利用者さんを見つけて、ここに書いたような介護を実践してみてください。
介護の面白さが見つかるはずです!(^^)!
最後まで読んでいただいた皆様!
ありがとう!