どうも、ロボットと言えばドラえもんが浮かんでしまうYO-PRINCEです。
ドラえもんを作るほどの技術にはまだまだですが、介護業界でも当たり前のように使われるようになってきたロボットという言葉。
介護ロボットはどこまで進化していくのでしょうか・・・?
介護ロボットの実用化が少しずつ現実のものとなってきている介護業界。
介護においてもロボットに頼らざるを得ない状況にはなってきているものの、やはり人の手による介護を今一度見つめなおしておきたいな・・・。
- 介護ロボットが必要な理由とは?
- 介護ロボットに支援される生活は快?不快?
- 様々な種類の介護ロボットが介護を担う未来予想図
- ロボットと介護士がうまく共存できる業界を目指す
- スマート介護士のニーズが高まる?
- 介護ロボット重視か?人材育成重視か?
- まとめ
介護ロボットが必要な理由とは?
高齢者が増え、高齢者を支える人口が減っており、介護人材不足が深刻化していることは周知の事実です。
そして、人手がいないならロボットに頼らざるを得ないということも、それしか手がないと言われたらその通りな話です。
介護ロボットが必要な理由は簡単に言えばそういうことです。
それにロボットの技術は他の分野に目を移しても分かる通り、介護の一翼を担えるぐらいの技術は十分にあります。
今やロボットが当たり前になってきている時代ですから、ロボットの導入は必然とも言えます。
とはいえ、ロボットに頼り始めた要介護者の暮らしはいったいどんなものになってしまうのか。。。
人生の最期の時間が、ロボットと過ごすというのはどんな気持ちなのだろうか。。。
まずはロボットとともに過ごす暮らしを想像してみたいと思います。
介護ロボットに支援される生活は快?不快?
まずはこちらの動画をご覧ください↓
1991年のアニメ映画「老人Z」の一場面を編集された動画です。
「AKIRA」の大友克洋氏と「ストップ!!ひばりくん!」江口寿史氏がコンビを組んだ老人問題をテーマに作られた映画なんですが、今から20年以上前の映画でここまで時代を先取りしているなんてスゴイですよね!
まさに今、介護ロボットが形になろうとしているわけですから!
この『老人Z』、ロボットに介護されることへの問題提起であることは言うまでもないと思います。
尿意や便意を察知し、尿や便を吸収してくれるロボット・・・。
服を脱がしてくれてお風呂に自動で入れてくれるロボット・・・。
もし、今の私が何らかの障がいによって介助が必要となったとき、自分の「意思」でロボットを扱い介助を受けることができるのならきっと使いたいと思うでしょう。
ところが、この映画で描かれているおじいちゃんの場合は、自分の「意思」と関係なく排泄や入浴のケアがロボットによってなされていくことで、おじいちゃんに不快感生まれています。
例えば尿意・便意を察知して尿・便を吸収なんてものが「意思」と言えるんでしょうか?
尿意・便意を感じて、すぐにトイレに行こうとは私でも思いません。
高齢者の介護に携わっていると分かることなんですが、高齢者の動きというのはとてもゆっくりで、かつ個人差があります。
そして、私たち介護士は排泄にしても入浴にしてもすべての介護において、快・不快の確認をしながら、その人の動きに合わせながら、その人にとって必要な部分だけを介助していくのです。
なんなら、判断能力も落ちておられる場合も多いことから、表情や動きを観察しながら本人の意思とは違う適切と思われるケアを介助者側の選択で行うことで高齢者の快へとつなげることもあります。
そんな高度な介護という技術がロボットに可能なのでしょうか?
ロボットでケアをしていくということは、どうしても器械的になってしまうので、そこは「快」とは言い難くなるのではと感じています。
ところが、人間が介護する場合もまた、器械的になっていることが多く見られる現状はあります。
介護士の介護の質はピンからキリまで・・・。
介護士のスキルの問題だけではなく、介護現場の人手不足や利用者側の状況により個々に適切なケアがしにくいといった問題もあり、ロボットがした方がマシだと捉えらえても仕方ない介護現場の現実があります。
そう考えていくと、これからさらなる人材難に見舞われる介護業界において、人間による介護は質の低下を招いていくだけで、介護ロボットのほうが生活の質をあげてくれる可能性があるようにも感じてしまいます。
では、実際どんな介護ロボットが登場していくというのでしょう?
介護ロボットの未来を見ていきたいと思います。
ちょっとその前に・・・
「老人Z」に興味のある方は全編ご覧になってください!一見の価値ありです!
様々な種類の介護ロボットが介護を担う未来予想図
2012年に厚労省、経産省が共同でロボット技術の介護利用における重点分野の策定を行いました。
そして、この重点分野は2014年、2017年の改訂を経て、2019年4月現在6分野13項目の介護ロボットのカテゴリーが定められています。
厚生労働省ホームページにあるこちらの6分野13項目をもとに未来予想図を書いていきたいと思います。
出典:厚生労働省ホームページhttps://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2_3.pdfより
①移乗介助
「装着型」では、スマートスーツというものがあって、介護士がスマートスーツを装着して介助すれば中腰姿勢の負担が軽くなるというものです。
「非装着型」は、フルリクライニング車イス付ベッドというものがあります。
ベッドにも車イスにもなっちゃうようなイメージですね。
あまりロボットのイメージではないですし、上手く使えば利用者・介護士ともに楽になるようなものもありそうですね。
②移動支援
外出をサポートしくれたり、立ち座りをサポートしてくれたりするものがあるようです。
立ち座りが楽になればトイレにも行きやすくなります。
装着型のものもあるようで、装具のロボット型のようなものが作られていくようですね。
これについてもロボットのイメージはないようで安心しました(^_^;)
③排泄支援
水洗機能のついたポータブルトイレのようなものがあるようで、これは便利そうですね!
自動で排泄物を流してくれたりすれば楽ですし、何よりベッドサイドで排泄できるのは安全ですし、かつ衛生的であれば気持ちいいですよね。
何より排泄は他人には見られたくない行為であるので、できるだけ安全に一人で行けるなら良いと思います。
そんなことを書いた記事↓
「トイレ誘導」、「動作支援」に書かれていることが気になりますね。。。
排泄を予測し、いいタイミングでトイレ誘導するようなロボット?
ロボット技術で服を脱がしてくれる?
これだけ読めば「老人Z」を見た後ではいい気はしないですが、きっとそんなひどいことはないと思います(^_^;)
④見守り・コミュニケーション
見守りについては、センサーを使った転倒予防等をイメージしたもののようですね。
認知症の方の見守りという意味で使われることになると思うので、これは介護現場においても抵抗感は少ないと思います。
センサーマットは身体拘束に当たるかどうかという議論もあるので、導入にあたってはしっかり目的を明確にしていく必要はあるでしょうね。
コミュニケーションというところは気になりますね・・・。
このコミュニケーションが過剰にロボットに頼られていくのであればちょっと心配ですが、うまく使われるのであれば良いと思います。
何にしても、過剰にならないということがポイントになるように感じます。
ずっとロボットだけと会話のやりとりすることになるであれば、私ならイヤです・・・(-_-;)
⑤入浴支援
入浴は排泄同様に他人には見られたくない行為です。
そう考えればロボットに頼るのは自然なことなのかもしれませんが、私としてはこれまでの介護経験で気持ち良く入浴してもらえる技術を積み重ねてきてロボットに頼るというのは無念でなりません。
介護士としての個人的な思いです(^^;
それは介護技術だけでなく声かけ等の対応も含んだスキルで、人の手で気持ちよく入浴してもらえると思っているからです。
例えばこんなことを考えながら…↓
ロボットによる入浴介助って想像しがたいんですよね。。。
入浴拒否の利用者さんがもっと増えてしまうんじゃないかなとも感じます。
身体が元気な今の自分ならロボットのほうがいいとも思いますが、介護が必要な状態になった時にどう思うんでしょうね。。。
入浴については、賛否両論あるように感じますが、とにもかくにも私は人の手でお風呂に入ってもらいたいと今は思っています( ・`д・´)
⑥介護業務支援
見守り、移動支援、排泄支援をはじめとする介護業務に伴う情報を収集・蓄積し、それを基に、高齢者等の必要な支援に活用することを可能とする機器
こう書いてありますね。
私は以前から介護のあらゆるものをデータ化して行動パターンをつかんでおくことは必要と考えていました。
『行動パターンなんてそのときどきでいろいろだ!』なんて言われる方もおられますが、基本的に日常の行動はパターン化されているものと私は捉えています。
排泄パターンについては以前こんな記事を書きました⇓
もし、ロボットによりあらゆる行動がデータ化されるのであれば、介護士の仕事はより効率的になると思います。
これについてはぜひともロボット導入してほしいなと思います。
ロボットと介護士がうまく共存できる業界を目指す
いま描かれている介護業界の未来は決してロボット過ぎない未来なのではと感じます。
どれだけロボットが活用されたとしても結局人間でしかできないことが多いことを介護現場は知っています。
だからこそ「介護は単純労働」と言われてしまったときに多くの介護士が憤慨したのです。
そして、徐々にではありますが、介護士の給与は確実に上がってきています。
それは、介護の専門性が社会に認められようとしている証です。
そんななかで本当に大切なことは何か?
それは、介護士自身がより専門性を高めていく介護を実践していくことだと思っています。
今こそ介護士のプロ意識を見せつけるときです!
どんな職業もプロ意識は持って当然なのですが、そこは個々の責任だけでなく人材育成を担う会社の責任も大きいのです。
これは経営者側が考えないといけないことですね。
人材育成に取り組んでいる施設が算定している介護職員処遇改善加算。
なんとなく「人材育成やってます…」ぐらいのアピールでこれらの加算を算定している施設と真剣に人材育成に取りくんで加算算定している施設が、同じ加算による収入を得ていることがあります。
もっと厳しくしていかないと、経営者側は努力を怠る傾向があるんです。
そんな環境下では介護士は育つわけがありませんし、そんな介護施設にお金を回すぐらいならロボットにお金を回した方がマシってことになってしまいます。
介護職員処遇改善加算等の要件をより厳しくして、真に人材育成に取り組んでいる施設にこそ優秀な介護士が集まるような仕組みになれば、もっと経営努力するでしょうし、そうした環境下であれば介護の質も高められるはずです。
ロボットに高額払うより、人間に高額払えるような施設でありたいですよね。
ロボット以上の働きができる介護士は絶対にいますから。
高給取りの介護士が現われる時代が来るべきです。
そんな環境のなかでなら、ロボットはうまく使ったらいいと思っています。
逆に言えば、介護士の質が低い施設にロボット入れてもきっと無駄ってことです。
私としての結論はこれ↓
優秀な介護士とロボットが共存できるような介護現場が理想なんじゃないかな。
スマート介護士のニーズが高まる?
そうなってくると、スマート介護士の需要は高まってくるのかな??
スマート介護士とは、介護ロボット・センサー機器を効果的に活用して、介護の質の向上と介護業務の効率化できる、これからの時代をリードしていく介護士です。
2019年3月に創設された新しい介護資格です。
なんでもかんでも介護ロボットというわけではなく、介護士がロボットをうまく使っていくということです。
スマート介護士の存在こそがロボットと介護士が共存できる方法になるような気がします!
スマート介護士、需要ありそうです!
ご希望の方はこちらから申込できます↓
介護ロボット重視か?人材育成重視か?
最後にちょっと心配をしておきます。
ロボットを導入したとしても、それをうまく扱えないと意味がないし、そもそもそこに投資しようと考える施設がどれだけあるんだろうということです。
それに機械はいつか壊れますから・・・。
介護現場では特殊浴槽という何百万とする入浴機器を使っている施設が多くありますが、故障したときに買い替えられる余裕がない施設もあります。
そうなると特殊浴槽はあきらめて、寝たきりの方でも入られるような浴槽とリフトを導入するという施設もあります。
そんな意識のなかで、ロボットに投資できる施設がどれだけあるんでしょうか?
でも、そんな施設があっていいように思うんです。
ロボットへの意識は低くても人間への意識が高いのであればいいと思うんです。
人材確保も上手で人材育成も上手なんて施設は人間で勝負すればいいと思います。
そんなふうにして介護業界全体がロボット重視の施設や介護士重視の施設があるような感じで多様化していけばいいのかなと思います。
でもって、利用者はどういう特色の施設がいいかを選べたらいいんだと思います。
・・・まぁでも結局は、介護士とロボットの共存施設がやっぱり一番でしょうね(^_^;)
人材確保も人材育成もロボット導入も全部簡単ではないですが、せめてどれかには長けた経営ができていないと、きっと介護施設はつぶれていくんだと思います。
まとめ
介護ロボットのイメージは思ったほどロボットっぽくないことが見えてきたと思います。
とはいえ、介護は人間でないとできないことはやはり多いのではないかということも見えてきました。
そして、理想とすべき未来は、介護ロボットと人間の共存が一番いいんじゃないかということです。
でも、今一番大切なことはやはり人材確保であり人材育成の取り組みだと私は思います。
ロボットを導入するにせよ、それを扱える人材の育成が必要なわけですから。
ロボット導入は二の次です。
どういった未来を選択するにせよ、まずは働く職員の成長を大切にした経営を心がけましょう!
ドラえもんに頼りきっているのび太みたいにならないように。。。