どうも、認知症の方の世界に入る方法を身につけたYO-PRINCEです。
今回はこのツイートについて解説していきたいと思います。
重度の認知症の方のとりとめのない話にとりとめのない感じで話を続けていると、話がかみあいはじめ、その方の認知症の世界に『いま入った!』って感覚になる。#介護にまつわる小さな引き出し
— YO-PRINCE👑 (@s_y_prince) 2018年12月13日
あらかじめお伝えしておきますが、ファンタジー療法というものは今回の記事で極めて適当に命名したものです。
期待されているほどファンタジーではありませんので、軽い気持ちで読んでいただけたら幸いです(^^;
ミラーリングで波長合わせ
波長合わせという言葉を聞いたことありますか?
社会福祉士の勉強をしている頃に出会った相談援助技術の一つなのですが、専門的に言えばこういうことです↓
波長あわせ(tuning-in)
ソーシャルワーカーが,個人やグループと面接するにあたり,事前にクライエントの考えや気持ちなどについて想像することや,情報がある場合はそれらを参考にすることで,面接時にクライエントに共感できるよう準備すること。波長合わせをすることでソーシャルワーカーは,クライエントの反応にどのように対処するか,また面接やグループワークをいかに展開していくかを準備できる。スーパービジョンにおいても,スーパーバイザーはスーパーバイジーにむけて波長合せを行う。(社団法人日本社会福祉士養成校協会、わが国の社会福祉教育,特にソーシャルワークにおける基本用語の統一・普及に関する研究報告書、2005(平成17)年3月
ちょっと難しいと思うので簡単に言うと、言葉そのままに「波長を合わせる」ということです(^_^;)
「あの人とは波長が合わないな~」と言うときの波長です。
相手の話し方や言葉遣い、話す速さなどなど。
言語情報(話す言葉の内容)以外の非言語情報に注目して、それらを相手に合わせていくということをします。
メラビアンの法則というものがあります。
こちらの記事の中でも書いたことがあります。
メラビアンの法則とは、コミュニケーションにおいて人に影響を与える割合は以下のような割合になりますよというものです。
言語情報(話の内容):7%
聴覚情報(口調や話の早さなど):38%
視覚情報(見た目や表情など):55%
この聴覚情報・視覚情報でコミュニケーションの9割が伝わってしまうなら、そこで波長を合わせていったほうがいいですよね。
方言を使うのもいいですし、話の速さを合わせるのもいいですし、表情を合わせるのもいいと思います。
相手にとっての鏡のように立ち振る舞えると波長合わせがうまくいきます。
この鏡のように立ち振る舞う技術をミラーリングと言います。
これを認知症ケアに意識的に使ってみると認知症の方の世界に入っていくことができます!
認知症の方同士の会話にヒントがある!
私はこの認知症の世界に入る方法に初めて気づいたのは、認知症の方同士の会話でした。
認知症が進行すると、言葉の理解が難しくなっていくわけですが、それでも認知症の方同士の会話が成立してなんなら盛り上がっていくことがありますよね。
介護士の方であれば、一度はそんな場面を目にされていると思います。
訳の分からないことを一生懸命話されている認知症のAさんに、認知症のBさんが一生懸命うなづきながら話を聞いてあげているような場面。
少し悲しそうに話されているなら、少し悲しそうに聞いてあげて・・・
なにやら楽しそうに話されているなら。ちょっぴり嬉しそうに聞いてあげて・・・
これぞミラーリングであり、波長合わせが行われているのです!
背格好も似ていたりすると、目線も合っていてそこには二人の独特の世界観が作りあげられていたりして、そこには入り難ささえ感じることがあります。
メラビアンの法則にあるとおり、話の内容なんて1割程度しか影響ないんやなということを感じる場面です。
言葉の理解力が低下しておられる認知症の方の場合は、健常者とのコミュニケーション以上に非言語情報だけで勝負してもいいじゃないかと思うようになったのです。
いざ実践!波長合わせで認知症の世界に入り込む!
というわけで、認知症の方同士だけど何やらコミュニケーションが成り立っている利用者さん同士のやりとりをイメージしながら認知症の方への対応をやってみることが始まったのです。
不穏な表情でウロウロされているおばあちゃんがいたとして、対応してみましょう。
ちょっと背中が曲がっているおばあちゃんなら、ちょっと中腰になって目線を合わせて隣を一緒に歩いてみる。
方言で話しかけて来られたら、方言を学んで方言で返してみる。
ゆっくりとした口調なら、ゆっくりとした口調で話してあげる。
ちょっと悲しげな表情をしておられたら、悲しげな表情で寄り添ってみる。
訳の分からないことをつぶやいておられるなら、訳の分からない話に合わせてうなづいたり相槌をうったりして、その訳の分からない話を広げたりしてみる。
・・・そんなふうにしていると、不穏だった利用者さんの世界に入っていくような感覚が徐々に芽生えてきます。
言葉では説明しがたいんですが、例えばそのおばあちゃんが子どもの頃に戻っているとしたら、その横で話を聞いているお父さんであったり、お兄ちゃんであったりしているような存在になれているような感覚です。
とにもかくにも、そのおばあちゃんにとっての安心できる誰かを演じ切る役者となり、役に入り込んでいるようなイメージがあるのです。
そうしているうちに、そのおばあちゃんの中に安心が生まれてきて、いつしかそのおばあちゃんは笑っているのです。
それは、冒頭のツイートの通り、認知症の方の世界に「いま、入った!」という感覚です!
こうしたやりとりは、話の内容は重視していないので、理解しがたい世界観が広がっていき、記録には書けないことが多いです(^_^;)
やっているうちに「俺、今何してんねやろ??」って感覚になります(^_^;)
現実とは別の世界に入りこんでいくこの手法をファンタジー療法と命名します!
ファンタジー療法使用上の注意点
このファンタジー療法は、言葉の内容にはほぼ注目していません。
なので記録に書き難いのです。
ですが、認知症の方の発された言葉には時として大事なキーワードが含まれていることがあります。
そのキーワードはケアのヒントになったりすることもあるのです。
なので、ファンタジー療法使用後は出来る限り振り返りをしながら、その人を特徴づけるようなキーワードがなかったかを見つめなおすようにしましょう!
まとめ
ファンタジー療法、ステキな響きですね(^_^)
メラビアンの法則をもとに、非言語情報に注目してミラーリングを行うことで波長合わせをする。
認知症の方の場合、そうすることで思わぬ世界へといざなってくれます。
それはもしかしたらファンタジーのような世界かもしれません。
ファンタジー療法で認知症ケアを楽しんでしまいましょう!
YO-PRINCEの認知症ケアの新手法シリーズその1はこちら↓