どうも、何のレッテルも貼られていないYO-PRINCEです。
レッテルとは、「商品の目印として貼り付ける紙札」、「ある人物や事物に対して一方的、断定的な評価をすること」という意味です。
この後者の意味で使われるレッテルですが、介護の世界でもよくレッテル貼りはあります。
実はアセスメント段階ですでに起こりうるレッテル貼り。
実際によく起こるレッテル貼りを見ていきたいと思います。
「尿意の有無」が誤解を生む!
尿意の有無。
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2019年4月23日
訴えが無いだけで『尿意無』のレッテル。
訴えない人たちの尿意のサインはいくらでもある。
尿意の有無という表現は止めたほうがいい。#介護にまつわる小さな引き出し
最近の私のツイートです。
このことはブログでもたびたび取り上げているのですが、尿意というものはそう簡単になくならないものなんです。
認知症等により感じた尿意が脳に届いても「トイレに行きたい」と変換されないだけで、尿意を感じても尿意を訴えることができないケースって多いんです。
赤ちゃんが尿意を感じて泣くのと一緒ですね。
トイレの表現が出来ないだけ。
介護現場で働く人たちは、このことを分かっていながら「尿意の有無」について答えを出さないといけないときに、「有り」「無し」で聞かれると、トイレに行きたいと言えないことをもって「尿意無し」としてしまうことがあるんです。
それに、時々トイレに行きたいと言われるから「尿意時々あり」みたいな表現になってしまう。
尿意が時々あるわけではなくて、本当は尿意はあるけど時々訴えが出来るだけのこと。
「尿意の有無」という表現はもう止めた方がいい(-_-;)
どうしても使うなら「尿意の訴えの有無」としたほうが誤解がなくてよいと思います。
できることなら認知症の方が尿意を感じてそわそわしたり、大声を出されるようなトイレに行きたいサインについても、「尿意の訴えあり」に含んでほしいものです。
「全介助」で能力が奪われる!
「全介助」もアセスメントのなかでよく使われます。
声かけor一部介助or全介助?
選択肢がざっくりしすぎてますよね(^_^;)
介護現場ではこうしたざっくりした分け方が多いんです(-_-;)
こんな分け方では、「車イス自走は少しはできるけど、時間がかかるし、しんどそうだから全介助やなぁ・・・」といった感じで「一部介助」の人でさえ「全介助」に振り分けられてしまう・・・。
みたいな感じで全介助のレッテルが貼られていくのです(--;)
そしてアセスメントシートに「車イス移動全介助」と書いてあるのを見た介護士は当たり前のように全介助を始めてしまうようなことがあるわけです。
こんなふうにしてできる力が奪われてしまうことがある・・・。
まぁ時間の都合上、記録をしようとすればこうしたざっくりした分け方になるのも仕方ないところではあると思いますが・・・。
アセスメントする際にはせめて「できること」「していること」「目指すこと」に分けた記録に残した方が良いと思います。
車イス移動で言えば、こんな感じ↓
「できること」は自立(もっと書くとすれば“時間はかかるが自立”)
「していること」は全介助
「目指すこと」は一部介助(もっと書くとすれば“10mぐらいは自立でそれ以上は介助”)
「できること」は利用者目線、「していること」は介助者目線。
「目指すこと」はケアプラン目線、つまりこれからしようとしている介護方法ということ。
どの目線でアセスメントしているのかを明確にしておくだけでも誤解はなくなると思います。
そんな誤解のないアセスメントシートにしたいものです(^^;
「認知症」の診断を勝手にしない!
認知症も「有無」で表現されがちです。
認知症の「有無」は軽度の方であれば、少し関わったぐらいではわからないと思います。
他人には認知症とは分からないように上手く取り繕われる方もおられますし、日頃のやりとりだけでは認知症を疑うようなやり取りが見えないこともありますから。
「認知症」と思っていたら「うつ」だった・・・なんてこともあります。
慣れてきた介護士さんほど、安易に「Aさんニンチあるなぁ」なんてことを言ったりします。
決めつけのような言い方で「認知症」というレッテルは貼ってしまうと、その後その方はずっと認知症扱いのような対応をされてしまうことがあるのです。
「認知症」と呼ぶなら、医師の診断をしっかりと受けてもらうことしかありません。
それが難しい場合は、症状の出方等を観察しながらチーム内で話し合い、どう考えても認知症であったとしても「認知症の可能性が高い」にとどめるようにすべきです。
診断が出来るのは医師だけですから。
ちなみに、先に書いた「ニンチ」という表現。
私は嫌いです(-_-;)
こういう表現を当たり前にしてしまっていると、安易な「認知症」のレッテル貼りが横行してしまいかねないからです。
そんなつもりで使っていなくても、それを聞いた人がどう思うかということも考えながら言葉を使うようにすべきと思います。
「認知症」のことをちゃんと知らない後輩職員が簡単に「ニンチ」という言葉を使い始めてしまうと「認知症」を軽視してしまうことにもつながりかねません。
どんな言葉もですが、「言葉」の影響力を知ったうえで使うということは大切なことなのです。
ケアのない「便秘」は「便秘」じゃない!
便が3日出ていない・・・便秘やな!
本当にそうなのでしょうか?
その人はちゃんとトイレに座っているのでしょうか?
適切な時間にトイレに座っているのでしょうか?
踏ん張れる姿勢でトイレに座っているのでしょうか?
そんな機会のない方を3日出ていないから便秘としてしまうのはどうなんでしょう?
それで下剤を飲まされて、不快な気持ちになったりするのです。
認知症の方であれば、下剤による不快感からBPSDが出現したりするのです。
※BPSD=認知症の行動・心理症状。徘徊・暴力等。
便秘にならないようなケアができているかどうかを見たうえで便秘かどうかを判断したいものです。
要介護者の便秘は私たちの便秘とは違うということをまず知らないといけいないなと思います。
私たちは、トイレにも座り水分も摂り、便秘解消の食事改善もしながら、それでも便秘になって下剤に頼ります。
要介護者の場合は、それらが出来ない状態のなかでの便秘であり、下剤に頼る前にすべきことがたくさんあるケースが多いです。
トイレに座ること、正しく座ること、トイレに行く時間を考えること、水分補給に努めること・・・介護でできることをしたうえで医療にゆだねていきたいですよね。
まとめ
介護現場でのレッテルは、ここにあげていることはわずかです・・・。
これらはケアを決めるアセスメントの段階でアセスメントシートに「有無」のチェックを記載する形でレッテルが貼られてしまうこともあるわけです。
最初でつまづいてしまっているということです(-_-;)
安易にレッテルを貼る行為は、その方の力を奪うだけでなくいろんな可能性を奪ってしまうものです。
今使っているアセスメントシートが適切かどうかを見直してみてはどうでしょうか?
シートを埋めてレッテルを貼るようなアセスメントになっていませんか?
そこを直せばケアが変わります!