どうも、基本的にABOUTなANSWERは好まないYO-PRINCEです。
介護の『A to Z』のAは『アセスメント』です。
介護はアセスメントが全てと言っても過言ではありません。
介護におけるアセスメントとは何なのか、どうあるべきなのか。
介護のAはこうあるべきです!
介護におけるアセスメントとは?
介護におけるアセスメントとは、高齢者のニーズ(解決すべき生活課題)を把握するための情報収集と課題分析のことです。
居宅介護支援事業所のケアマネジャーや介護保険施設(特養、老健等)のケアマネジャーは、ケアプラン(居宅サービス計画書または施設サービス計画書)を作成する時、厚生労働省の指定する課題分析標準項目23項目を満たしているアセスメントシートを使ってアセスメントしなければいけないこととなっています。
三団体方式、社会福祉士会方式、全社協方式等、23項目を満たしたアセスメントツールを選択する場合が多いですが、23項目を満たしていればオリジナルの様式を使ってもよいのです。
デイサービスや訪問介護といったサービス事業所においてもアセスメントは当然ながら必要なもので、基本的にはこの23項目を基準としてアセスメントシートを用意しておくことになります。
ただし、サービス事業所においてのプラン作成(通所介護計画書、訪問介護計画書など)は作成者はケアマネジャーが望ましいとなっていますし、アセスメントシートについては23項目が要件になっているわけではなく基準が緩いので、行政による指定がない限りは、23項目を参考にする程度でよいかと思います。
ここで押さえておきたいのは、どのアセスメントシートを使うにしても、ただの穴埋め作業になってしまっていたら、それは何の意味もないということです。
ベテランケアマネジャーは23項目が頭の中に入っていてアセスメントしている・・・なんて話を聞いたことがあります。
確かにそうでないとアセスメントはできないですし、どうしても穴埋め作業になってしまうと思います。
そんな高度なアセスメントですが、ケアマネジャーがケアマネジメントのなかで行うアセスメントとは別に、介護現場の介護や看護の業務のなかでも日々アセスメントは行っているものです。
利用者さんの状態は日々変化しうるもので、日々アセスメントが必要ということになります。
すべてのアセスメントを記録に残していって・・・となると相当しんどい作業になってしまいますが、毎回アセスメントシートを作成するというわけではありません。
アセスメントシートをもとにしているわけではない日々のアセスメントは、ケアプラン変更が必要な時に備えて記録に残していくことが必要なのです。
そんな日々のアセスメントと、ケアマネジメントの一工程であるアセスメントがうまくつながれば言うことはありません!
マクロとミクロの二つのアセスメント
ケアプラン(居宅サービス計画書または施設サービス計画書)を作成するケアマネジャーが、ケママネジメントの一工程として行うアセスメントのほかに、日々の介護業務のなかでもアセスメントが行われていると書きました。
では、施設、在宅を分けて、アセスメントの実際を整理しておきたいと思います。
在宅におけるアセスメントイメージ
まずは、居宅ケアマネジャーがアセスメントします。
アセスメントの結果、ケアプラン(居宅サービス計画書)を作成します。
ケアプランに位置付けられたサービス事業所は、それぞれにケアマネジャーからの情報をもとにアセスメントします。
ここでは、説明を分かりやすくするために訪問介護とデイサービスを利用したとします。
訪問介護・デイサービスそれぞれにアセスメントをし、訪問介護計画書・通所介護計画書をそれぞれに作成し、ケアマネジャーに各計画書を提出します。
訪問介護・デイサービスは、ケアマネジャー以上に日常をよく把握されているので、訪問介護・デイサービスでの日々のアセスメントをケアマネジャーに報告し、ケアマネジャーはケアプラン変更の必要を感じたら再度アセスメントしていきます。
赤字のアセスメントが、ケアマネジャーが行う居宅介護支援のケアマネジメントのなかでのアセスメントで、青字のアセスメントは、訪問介護やデイサービスが行っている日常のなかでのアセスメントです。
こんなイメージです↓
施設におけるアセスメントイメージ
分かりやすく説明するために、特養で説明をしていきます。
まずは、施設ケアマネジャーがアセスメントします。
アセスメントの結果、ケアプラン(施設サービス計画書)を作成します。
介護現場は、ケアプランに沿って介護・看護を行います。
これは、施設によって異なるかもですが、介護・看護がそれぞれに実際に行う具体的な行動計画である計画書を作成する場合があります。
サービスプランという名称が使われることもあるようです。
在宅でいうところの、各サービス事業所が通所介護計画書等を作成するイメージに近いと思います。
そんなサービスプランの有る無しに関わらず、介護・看護は、ケアマネジャー以上に日常をよく把握されているので、日々のアセスメントをケアマネジャーに報告し、ケアマネジャーはケアプラン変更の必要を感じたら再度アセスメントしていきます。
赤字のアセスメントが、ケアマネジャーが行う施設介護支援のケアマネジメントのなかでのアセスメントで、青字のアセスメントは、介護現場で介護・看護が行っている日常のなかでのアセスメントです。
こんなイメージです↓
ケアマネジャーが行うアセスメントと現場が行うアセスメント
要するに、見出しのとおり、ケアマネジャーは外枠のアセスメントを行い、その枠の中で行われているアセスメントは現場で行われているというイメージです。
ケアマネジャーがマクロ、現場がミクロというイメージですね。
この両軸がうまくいくためにも、ケアマネジャーは時としてミクロの視点が大切になってきますし、現場はマクロの視点が必要な時があるということです。
そうでないと、現場は「ケアマネジャーは座ってばかりや」と言ってしまい、ケアマネジャーは「なんでしてくれへんの?」って言ってしまうわけです。
ケアマネジャーはマクロで広く見ているからミクロの部分なんて見えるわけないし、現場はミクロで日々の細かなところを見ているからマクロの部分は見えにくくて当然なんですが、お互いの領域に興味を示すという姿勢が大切なのです。
そんなお互いの役割を理解し合えば、きっといいアセスメントができますし、それがいいマネジメント、いいケアへとつながるはずです!
アセスメントでの誤解を知る
ケアプランであれ、サービス事業所の作るプランであれ、介護・看護を始めるときであれ、まずはアセスメントをすることになります。
ここでは、アセスメントシートを作成するという前提で、アセスメントの誤解を見ていきたいと思います。
気を付けなければいけないのが、前述のとおり穴埋め作業にならないようにしなければいけないということです。
穴埋め作業のようなアセスメントになってしまうなかで、アセスメントに間違った認識が生まれていることがあります。
その誤解について説明していきたいと思います。
1回でアセスメントしなくてもよい
アセスメントシートを作成するために、1回でアセスメントしきろうと思ってもそれは無理な話です。
それは、平成20年7月に厚生労働省老健局振興課により作成された「ケアプラン点検支援マニュアル」の中にも書かれています。
この「ケアプラン点検支援マニュアル」は「介護給付費適正化事業」の中で作られたもので、居宅ケアマネジャーのケアマネジメントの質の向上のためのものですが、サービス事業所における通所介護計画書や訪問介護計画書を作成する前のアセスメントも同様に考えてもらってよいと思います。
よく訪問して契約する時などに、「アセスメントして計画を作らなきゃ!」って感じで一気にアセスメントシートを完成しないといけないと思われている方が多いですが、それはいったんここまでのアセスメントという認識で十分です。
訪問時の1時間やそこらでは無理に決まっています。
現場における数時間、数日の関わりでアセスメントすることが無理です。
誰かのことを知ろうとするときに、相手が家族であってもアセスメントしきることは無理だと思います。
アセスメントはアセスメントシートでの聞き取り以外の、日常のひょんなことから見えてくることもたくさんあります。
そうしたアセスメントの蓄積で、よりその人らしい生活に近づけていくという妥協的なアセスメントこそが真のアセスメントと思っていいと思います。
アセスメントシートは順番に聞き取らなくてよい
これは言わずもがなかとは思いますが、初めてアセスメントシートを使ったアセスメントをするときなどはよく陥ってしまいがちです。
でも、最初はそれでいいとは思います。
初めてのときはどうすれば分からないですし、まずは順番に聞き取ってみて何か違和感を感じ取ることのほうが大事かもしれません。
大事なのは「流れ」であることに気付き始めると思います。
これは、理想的な順番を考え抜いたオリジナルのアセスメントシートであってもその順番のままではダメだと思います。
初回面接のインテークの場面では特に「波長合わせ」というものが必要になってきます。
相手の流れに合わせながら聞き取っていく感じなので、アセスメントシートの順番通りには進めないほうがスムーズに聞き取れます。
例えば、排泄のことについて聞いていたときに「よく汚染する」という話になったら、その流れに沿って「着替えは自分でされてるんですか?」と聞いたり、さらにその流れで「お風呂の時も自分でされているんですか?」と流れに沿って聞いていくというスキルを使います。
初回で尋問みたいに聞いてしまうと、印象として良くないことが多くあるんですよね。。。
もしそれが難しければ、できるところまでは自然な流れでやってみて、その後にアセスメントシートに基づいて進めて、穴埋めをするというやり方が有効かと思います。
徐々にスキルが磨かれていくはずです。
波長合わせについてはこちらの記事でも触れているのでご覧になってください↓
聞きにくいことは聞き方がある
聞きにくいことってありますよね。
経済的なことや家族関係などなど。
排泄のことも場合によっては聞きにくいと思います。
居宅ケアマネジャーは、家の中を見させてもらうのも大切なことで切り出しにくいかもしれません。
聞きにくい内容については、違う角度から聞いてみると聞きやすいことがあります。
経済的なことであれば、「どのぐらいまでなら(費用)負担できますか?今後のサービス調整に当たって知っておきたいので。」と聞くとよいですし、排泄については「トイレのことで困っていることないですか?」と聞くとよいと思います。
排泄のことで、アセスメントシートどおり「昼間は紙パンツですか?」などと唐突に聞いてしまうと失敗します・・・。
あと、家の中を見させてもらうときなどは、「これは法律で決まっていることなので、申し訳ないんですが家の中を見させてもらう必要があるんです」といった切り口で「決まりなので」というスタンスが理想的です。
事前にそのことを伝えておくという配慮があるとよりスムーズにいくかもしれません。
そのアセスメントは間違っているかもしれない
どれだけ自信のあるアセスメントでも間違っているかもしれないという認識が必要です。
失禁が続いているのでオムツが必要というアセスメントも、トイレ誘導のタイミングを変えれば問題ないかもしれません。
ご飯でよくむせておられるのでお粥にしたほうがいいというアセスメントも、口腔内のトラブルが影響しているだけかもしれません。
昼間起きているのに夜間眠れないので眠剤が必要というアセスメントも、昼間車イスに座っているだけで実はかなりの時間を寝ておられるかもしれません。
それぞれがしているアセスメントはどうしても視点が偏りがちなものであり、まずそれぞれが自分を疑ってみるという意識があってちょうどよいと思います。
「◯◯さんはこうなんです!」という言い方をしてしまう人ほど気を付けたほうがいいと思います。
リスクアセスメントは別枠で行う
最後に、これからとても重要になってくるリスクの視点について。
このリスクの視点は、これまでのアセスメントとは別でアセスメントした方がよいと思います。
生活のアセスメントのなかで、リスクについてもアセスメントするとは思いますが、別枠でリスクのみを考えるということが必要ということです。
生活のアセスメントとリスクのアセスメントを一緒にしてしまうと、生活重視の人はどうしてもリスクの視点が不十分になってしまうことがあります。
それに、今の時代ちょっとしたことが訴訟問題にまで発展してしまうこともあるからです。
生活を無視してリスクだけを見る作業をしてください。
とにかく潜んでいるリスクのすべてを洗い出し、そのうえで生活とリスクを天秤にかける作業をすればよいと思います。
そんなふうな思考が当たり前になってくると、利用者または家族にこれからするケアを説明する時に、そのことにより生じうるリスクについてもうまく説明できるようになってくるはずです。
まとめ
介護の「A」、アセスメントはやはり重要です。
アセスメントの理解は、利用者の生活だけでなく、チーム内での相互理解や家族との関係づくりにも影響します。
それにアセスメントには誤解がたくさんあります。
リスクアセスメントの視点が不十分な人はこれからの時代欠かせない視点なので、必ず身につけるようにしましょう。
今一度、この記事でアセスメントを見つめなおす機会をしていただければと思います。
今こそ多職種連携アセスメントで生活・ケア・チームを変えましょう!
では、次回は介護の『B』でBath「お風呂」です。