どうも、YO-PRINCEです。
こちらのツイートの解説記事の続きです。
❌決まったことなのでやりましょう!
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2019年5月26日
⭕決まったことなのでとりあえず2週間やってみましょう!
決めたことを嫌々やってもらっても望む結果は得られない
嫌々な人にも気持ちよくやってもらう働きかけ方が大切#介護にまつわる小さな引き出し
前回の記事では、ケアの標準化について「決めることを嫌がる職員の嫌がる理由」についてまとめました。
嫌がる職員の思いに理解を示すことができたら、ケアの標準化がなぜ必要かについてちゃんと説明できる必要があります。
今回の記事ではケアの標準化が必要な理由を整理するとともに、冒頭ツイートにある対応の意図について解説していきたいと思います。
ケアの標準化と画一化の違い
『ケアの標準化』と『ケアの統一』はちょっとニュアンスが異なるんですが、よく同じような意味で使われます。
『統一』と聞くと、“そろえる”ようなイメージをもたれると思います。
一つのケアにそろえるということです。
一方で、『標準化』とは“標準に合わせる”という意味で、標準を確率させていく過程を指すのが一般的とされています。
一つのケアに決めていくわけではなくて、標準をどこに置くかを決めて、そこに合わせていこうということです。
標準化に近い言葉で『画一化』という言葉があります。
『画一化』は、同じ状態にそろえること。
『標準化』を『画一化』と捉えてしまっているから、ケアを決めることに嫌悪感が生じるんでしょうね。
『標準化』は、同じ状態にそろえることを目的としていません。
あくまでケアの標準を決めていく作業で、すぐに標準化などできないので、PDCAサイクルで時間をかけて標準化していくしかありません。
チームのなかで『標準化』を目指せる状態を作っていくということです。
つまり・・・
ケアの画一化だと、「同じケアにそろえること」で、よく言われる『ケアの統一』をしていくことになりますが、
ケアの標準化は、「チームで標準となるケアが出来る状態にしていく」と捉えるとよいと思います。
チームケアに欠かせない『ケアの標準化』の核はマニュアルだ!
基本的に、チームでケアをしていくうえで日々目指すのは『ケアの標準化』となります。
どんな組織においても、明確な目標があるもので、そこに向かって仕事をしていくものです。
社会科学における組織(そしき、英: organization)は、共通の目標を有し、目標達成のために協働を行う、何らかの手段で統制された複数の人々の行為やコミュニケーションによって構成されるシステムのことである。
※組織(社会科学):ウィキペディアより抜粋
組織たるものは、共通の目標があり、目標達成のために仕事をし、何らなの手段で統制されている。
この何らかの手段が「マニュアル」であり、「マニュアル」 によって『ケアの標準化』を目指します。
以前こちらの記事でも書きましたが、マニュアルは今やっている介護の証と捉えます。
私たちがしている仕事を記録に残し、その記録をPDCAサイクルで見直していくことが「マニュアル」には必要です。
「マニュアル」は『ケアの標準化』の重要なツールであり、「マニュアル」整備にしっかりと取り組むことがチーム作りに欠かせないということになります。
ケアの画一化が必要な時もある
『ケアの標準化』を目指している状況では、「同じケアにそろえる」ところまでの議論はあまりなされません。
ところが、介護においてはただ単に「同じケアにそろえる」ことを目的とすべきときもあります。
それは個別の利用者の対応を考える時です。
介護は「マニュアル」をベースとしながら、「マニュアル」どおりでは対応しきれないところをケアプラン等で個別に『ケアの標準化』をしていく作業をします。
ケアプランもまたPDCAサイクルでケアの見直しをしていくので、考え方は「マニュアル」と一緒です。
ところが、細部まで細かなことをそろえておかないと、苦情や認知症の方であれば不穏症状として利用者からの反応が表出されてしまうことがあります。
「あの人はこうしてくれるのに、あの人は全くしてくれない!」というのは良くある苦情です。
認知症の方であれば、暴言・暴力につながることもあると思います。
そうしたときには、『ケアの画一化』、つまり『ケアの統一』を目指すことになります。
『ケアの画一化』の限界
『ケアの画一化』には限界があります。
例えば、介助方法であれば、職員の体格等によって出来る介護出来ない介護が生じます。
認知症ケアであれば、相性が露骨に出てしまい、どれだけ丁寧な声かけをしようとも、同じような反応を引き出せないこともあります。
ワンオペ夜勤などでは、1人ですべてをこなさないといけないことから業務のまわし方にスピードの差が生まれ、時間のかけ方にも差が出てくることもあると思います。
この壁にぶつかると、どうしようもないまま時間だけが過ぎていき、苦情が大きくなったり認知症の方の不穏症状が膨れあがったりしてしまいます。
これらは、本当にどうすることもできないのでしょうか??
行き詰ったときはまずやってみる空気感を作る
出来ないと決めつけてしまったらそこまでで終わってしまいますが、やってみると意外と問題なかったりするのが介護です。
そんなとき、「そんなことできるわけがない」と思われている職員の気持ちを前回の記事のように十分に理解をしたうえで、私たちにできるのが冒頭ツイートです。
❌決まったことなのでやりましょう!
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2019年5月26日
⭕決まったことなのでとりあえず2週間やってみましょう!
決めたことを嫌々やってもらっても望む結果は得られない
嫌々な人にも気持ちよくやってもらう働きかけ方が大切#介護にまつわる小さな引き出し
『ケアの画一化』を考えるうえで一番配慮しないといけないのが、何らかの理由でそのケアをできない職員の気持ちです。
あまりにわがままな理由でない限りは職員の気持ちをまずは受け止めることから始まります。
次にケアを決めることの必要性を理解してもらいます。
『ケアの標準化』の理解が乏しいチームであれば、そこから押さえていく必要があるかもしれません。
『ケアの標準化』について理解があるチームであれば、『ケアの画一化』をするしか方法がないこと、それをすることでの効果などを説明しておく必要があると思います。
そのうえで、「とりあえずやってみよう!」にもっていきます。
「やる」より「やってみる」の方が気持ちが楽になりますし、「とりあえず」と加えることでさらに気持ちが楽になります。
なるべくコトがうまく運ぶような根回しもしておくとよいと思います。
そのケアが問題なく「できる」職員には、「できない・したくない職員」のサポートに回ってもらったり!
うまくできる工夫を一緒に考えたり!
そういう空気感を作ることはとても大切です。
そして、さらには「2週間」程度のほどよい期間を設けるということで、「できない・したくない職員」への負担感を和らげてあげます。
ターゲットはとにもかくにも「できない・したくない職員」です。
ツイートのとおり、イヤイヤしている仕事はどんな仕事でもうまくいきません。
いい結果など得られないのです。
「できない・したくない職員」が文句ばかり言っているような職員であっても、この方法でいい結果に導けるのであれば、私ならいったん我慢します。
その我慢はちょっとハードルが高くなるかもしれませんので、1人で戦おうとせず、「できる職員」で話の方向性をまとめておく等の根回しをしておくとよいかもしれません。
あとは、やってみての評価をちゃんとして、次につなげます。
無理ならあきらめるしかないかもしれませんが、いったんはそれでいいと思います。
こうした取り組みで少しずつでもチームとての成長はしているはずなので、それが一番のチームの財産となります。
まとめ
『ケアの標準化』は、これからの介護を語るうえで欠かせないと思います。
『ケアの画一化』も時として必要なことがありますし、そこに根気よく取り組むことで『ケアの標準化』にもつながると思います。
『ケアの標準化』を目指したチーム作りは、決めようとしているケアが「できない・したくない職員」にどれだけの理解を示すことができて、どれだけの配慮ができるかというところが鍵となります。
そのうえで、「とりあえずやってみよう!」です。
これからの介護業界は、いろんなタイプの職員が集まってくると思うので、『ケアの標準化』がさらに難しくなると思います。
そこにどれだけの力を入れるかは経営者の決断にかかっていると思います。
トップの理解がないと、こんなめんどくさいことしたくないですもんね(^_^;)
とはいえ、こうした取り組みは必ず自己成長につながるので、未来の自分のためにもぜひとも取り組んでみてください!