どうも、ヨウ-P(@s_y_prince)ことYO-PRINCEです!
いろんな切り口からカイゴのヒントをお届けしています!
今回の記事は、こちらのツイートを解説していきたいと思います。
利用者さんの世代でもシャワーが当たり前になってきて、シャワーが上手に使える利用者さんが増えてきたように思います🚿
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2019年10月21日
最後の泡流すときぐらいはシャワー渡してみましょう。
股も上手に洗い流してもらえることもあります☝️#介護にまつわる小さな引き出し
利用者さん世代は『桶世代』だと思っていたんですが、いつしか『シャワー世代』に変わってきたんだなぁ~という、マニアックな記事ですが、ちゃんと書きたいと思います!
高齢者はシャワーを使えない??
20年ほど前に介護の仕事をし始めて、入浴介助ではその当時からシャワーを使っていました。
当時の利用者さんたちはシャワーをうまく使えず、身体を流すときは全てシャワーで身体を流す介助をしていたんです。
なぜ利用者さんはシャワーを使えなかったんでしょう?
それは、当時の利用者さんは浴槽から桶でお湯をすくって身体にかけるという習慣で慣れておられ、シャワーの使い方が分からない方は多かったのが一つの理由だと思います。
もう一つの理由は、私たち介護士の「決めつけ」です。
シャワーなんて使えるわけないやん!
そのぐらい手伝ってあげたらええんちゃうの?
おそらくシャワーを利用者さんに使ってもらおうとすれば、介護士さんからはそんな声があがったと思います。
それに当時の私は、「シャワーを使えるかもしれない」なんて思いもしませんでした。
可能性つぶしてますよね…(^_^;)
…というか、そもそも無理にシャワー使ってもらう必要ないし、桶を使う習慣があるなら桶を使ってもらえばいいだけの話なんじゃないの?
シャワーを使える可能性を追求する必要はあるのか?
桶にお湯を貯めて身体を自分で流してもらう。
これが習慣ならこれができるかを評価すればいいんですが、桶で身体を流すという行為は結構何度も繰り返し流さなきゃちゃんと流れないから手間がかかるんですよね…。
それにお湯の貯まった桶が重たい!!
ある程度元気な利用者さんであってもなかなか大変そうなことが多くあります。
そうなると、シャワーで介助するという方法を選択します。
もうシャワーで流す介助でいいですやん!
ごもっともです!
それでいいと私も思ってはいたのですが、シャワーが普通に使える利用者さんがたまにおられるなかで、シャワーが自分で使えたらいろんな意味で質が上がると思っているわけです!
今回の記事は極めてしょーもない追求やと思って最後までお付き合いくださいm(__)m
自分でこすって泡を落とす動作をしてほしい!
シャワーで泡を流す介助をするときに、私がどういう配慮をしているかと言うと、利用者さんの手の動きに合わせてシャワーを流しています。
利用者さんが脇をごしごしすれば脇にシャワーを当てるわけです。
私たちがシャワーを使うときって、片手でシャワーを持って泡を流したい身体の部位に順番にシャワーを当て、その部位をもう片方の手でこすりますよね?
そうしないと泡が落ちにくいからです。
で、シャワーで介助する時にシャワーを当てながら多少はこすってあげながら落としたりするのですが、例えば胸や陰部などはこすりにくいので、できれば自分でこすってほしいわけです。
それができる利用者さんはその動きに合わせてシャワーを流すわけですが、それが出来ない利用者さんはそこを介助しないといけないわけです。
身体をこするのって結構介助しにくい部位ってあるんですよね・・・。
特にある程度ご自分でできる利用者さんの場合は、できているつもりがあんまりできてなくて介助が必要なことがあります…。
で、しっかりされているので身体に触れにくい…。
でもって、その触れにくい部分が泡が残りやすいことがあるんです。
泡が残りやすい部位は皮膚トラブルを起こしやすい!
まず一番困るのは陰部・肛門部周辺ですよね(^_^;)
直接触れにくく介助しにくいのは陰部・肛門部だけではなくて、その周辺もなんです。
特にそけい部は触れにくくて要注意です!
女性の場合は、胸の下や腹部なんかも触れにくい部位です。
特に円背(えんぱい)の方は胸の下や腹部に手を入れこまないと洗い流しにくい方は多いものです。
※円背とは、一般的には猫背のことを言います。
わきの下なんかも触れにくい部位で泡が残りやすいですしね。
以上は、利用者さんに触れるのに「恥ずかしいだろうな~」と思ってしまって触れにくい部位です。
あとは、触れにくさはないものの注意が必要な部位があります。
足の指の間や膝の裏などの関節の内側は泡が残りやすい部位と言われていますし、意外と首回りも忘れがちで注意が必要です。
足の指なんかは、触られるとくすばいという方は、自分でこすることができるなら自分でしてもらったほうがいいかもしれませんね。
こんなふうにして、泡が残りやすい部位は多いですし、触れにくくて簡単に泡を流しておしまいになっていることって多いものなんです!
そうなると皮膚トラブルにつながってしまうんです。
だから、できれば自分でこすってほしいんです。
シャワーは意外と使える!
では、どうすれば自分でこすってもらえるのでしょうか?
桶を使う場合は両手でないと桶を持ち上げることができず、お湯を身体に流すだけになってしまう方が多いです。
そうなると身体をこすってもらないので、こすってもらおうと思えばシャワーを使いたいですよね!
介助でシャワー流しながら自分でこすってもらう場合は前述の通り利用者さんの動きに合わせてシャワーを流すか、声をかけてこすってもらうかです。
で、一番効率がいいのは自分でシャワー当てながら自分でこすってもらうことであることは言うまでもありません。
ただし、シャワーで身体を流す動作は結構高度な動作になるんで、自立度のかなり高い方じゃないとなかなか難しい…。
そう思いますよね??
本当にそうなのでしょうか?
では、どんなことをしないといけないのか考えてみましょう!
まず、シャワーをあらゆる角度から身体に当てなきゃいけません。
同時に片方の手でこすらなきゃいけません。
どこにシャワーを当てるか考えなきゃいけません。
ぬるぬるしてないか確認しなきゃいけません。
周囲にシャワーがかからないか気にしなきゃいけません。
立って流すときはバランスをとらなきゃいけません。
少し考えただけでもいろいろやらなきゃいけないことがありますよね(^_^;)
「桶世代」の方々にそんなことができるのだろうか・・・。
いや、待てよ・・・??
本当に利用者さんは「桶世代」なのだろうか??
「桶世代」の利用者さんを長く介助するなかで、そんな単純なことに気づけていませんでした。
よく考えると、70歳代の私の母親と同世代の利用者さんも増えている!?
母親はシャワーを使っている!?
かなり高度な動作だけど、認知症の方や何かしらの身体障害を抱えている方々にできるんだろうか!?
いろんな疑問が浮かんできます・・・。
「シャワー世代」の方は明らかに増えています。
その方々に「シャワーを使う」という「手続き記憶」が残っているとしたら、シャワーをうまく使うことは可能かもしれません。
そう思うと追求したくもなりますし、追求すべきですよね!
普通に生活してもらうことこそがリハビリになるわけですし、「シャワーを使う」という高度な動作が普通にできたら、めちゃくちゃリハビリになるわけですから!
※手続き記憶とは、仕事の手順等の記憶のことで、比較的遅くまで残っている記録と言われています。こちらの記事で触れているので、よろしければご覧になってください↓
変わりゆく文化!「桶世代」から「シャワー世代」へ
片手でシャワーを持って、もう片方の手でこすってもらう!
実際にデイサービスの利用者さんにやってみました!
その結果、思っていた以上にできることが多かったです!
わきの下や陰部をこすりながらシャワーで流すことができます!
シャワーをあらゆる角度から体のいろんな部位に当てて流すことができます!
認知症が重度な方でも周囲にシャワーがかからないように気をつけられる力があったりもします!
今の利用者さんたちはシャワーが使い慣れている方も多いんだなということが見えてきました!
長く「桶世代」の利用者さんを介護してきて、私のなかで「シャワーは使えない」という「決めつけ」があったことに気づかされました…。
私は田舎で介護の仕事をしているので、昔ながらのお風呂に入られている方が多いことも手伝って、そう「決めつけ」ていたのです。
きっとこうした「決めつけ」が介護には多いと思います。
若者の文化も劇的に変わっているように、高齢者となられる世代の文化も劇的に変わっているはずです。
これまで関わってきた利用者さんとは文化の違う世代の利用者さんが次々に介護サービスを利用されるようになっていることを常々意識しておかなければいけないなと感じています。
それともう一つ大切なことは、例え「桶世代」の利用者さんだからといって「シャワー」の使い方を教えてあげたら使えることがあるもしれないということです。
「年寄りはこうだ!」という「決めつけ」はよくないですからね!
「私は柔軟だから大丈夫!」という方も、思わぬ「決めつけ」をしていることがあるかもしれません。
いつまでも謙虚に「介護」をしていたものです。
ちなみに、まったく今回の記事とは関係ないですが、「文化」という視点でこんな記事も書いているのでぜひ覗いてみてください↓
シャワーを使いやすくする工夫
今回の記事を書くにあたり、いろんな利用者さんにシャワーを渡してみました。
実際に多くの方が片手でシャワーを持ちながら、もう片方の手で身体をこすりながら泡を流すことができていました。
ただ、浴室の環境については考える余地があると感じました。
この取り組みのなかで、「ここは配慮がいるな」と思った環境について二つだけご紹介して終わりたいと思います。
ボタン付きシャワーヘッド
これはあったほうがいいです。
三段階で出方を調整できるものもありますが、自分でしてもらおうと思えばなるべくシンプルなもののほうがいいと思います。
ボタンを押すだけぐらいのシャワーヘッドです。
皆様も私生活で使われていると思いますが便利ですよね。
このシャワーヘッドのボタンについては、なじみがない利用者さんのほうが多いんですが、蛇口で出したり止めたりする方が難しいですよね。
なぜなら蛇口のタイプがさまざまだからです。
ひねるタイプのものにもいろんな種類がありますし、レバータイプのものもいろいろです。
いろんな利用者さんが使われるなかで、蛇口を使ってもらうということはとても難しいんです。
シャワーヘッドのボタンは今の利用者さん世代にはなじみはないものの、「押す」だけのことなので理解もしてもらいやすいです。
シャワーフックの位置
シャワーフックはできる限り座って手の届くところが理想です。
介助者の介助しやすさからすれば高い位置にあったほうが介助しやすいというのはあるので、二か所にシャワーフックがあると便利かもしれません。
利用者さんにとっては座って届く位置がいいと書きましたが、できればシャワーヘッドをかけてそのままお湯を出して頭を流せる位置にフックがあれば洗髪のときなんかは最高ですよね!
かつ、角度調整ができるフックなら最高ですよね!
それはあるな~!温泉いったときに、ええ感じの場所にフックがなくて頭を洗うときに不便なときがあんねん!
…すみません、突然介護漫才している変なおじさんが登場してしまいました(^_^;)
※変なおじさんはこちらの記事をご参照ください↓
話はそれましたが、私たち介護士は私生活で温泉に行ったりしたときに介護に生かせるようなことを考えてしまうことがあるんですよね(^_^;)
私たちがしやすい環境って利用者さんにも使えることがある!
そんな介護脳を持っておくと、介護の選択肢はこんなふうにきっと増えるはずです!
脳内コマンドで表すとこんな感じですね↓
►環境を整える
介助する
声かけ
逃げる
逃げてどないすんねん!お風呂は介護のなかで一番リスクの高い場面やからな!慎重に安全第一で自立支援を考えなあかんで~!
まとめ
10年で劇的に時代が変わるような時代です。
20代、30代、40代、50代・・・・。
それぞれの世代で考え方や価値観は大きくて、10年も離れるとかなりの違いが生じます。
職員間でもそんなことを感じる中で、利用者さんの世代にも変化があって当然ですよね。
ひと昔前の介護の利用者さんは、戦争を経験してこられた世代でした。
戦時の話もたくさん聞かせてもらいました。
今では、そんな話をしてくださる利用者さんは一握り。
それだけでも、利用者さんの文化が違って当然なことが分かります。
そんな文化の違いの中、今回の記事では入浴に注目しました。
こんなところまで気にしなくていいと言われる方もおられるかもしれませんが、しっかりされている比較的介護度の低い利用者さんでさえ、使い慣れていない浴室に来ると、ちょこんと座って何をしていいか分からなくなることがあります。
トイレならすぐに行かれますし、食事ならすぐに食べられます。
お風呂だけは、お風呂の環境がそれぞれに大きく違うので戸惑いが生じるような場所なんです。
蛇口、シャワー、シャンプー、ボディソープ、石けん、桶…。
他の家庭のお風呂に行ったときに困ることってありませんか?
それに、お風呂は転倒リスクから火傷のリスク、溺水のリスク…、リスクが多く存在する場所です。
いろんな側面から考えていくと、お風呂は自立支援がしにくい場所だということが分かります。
でも、利用者さんはお風呂では真っ裸ですし、本当なら自分でさっさと行動したいはずです。
お風呂と排せつはできれば人に見られたなくない行為なんですよね。
ついつい「介助」になりがちなお風呂ですが、今回の記事で書いたように「決めつけ」のないようにしながらやってみることで見えてくる自立支援があると思います。
「桶世代」から「シャワー世代」へと変わり始めているなかで、きっと介護のかたちは変わります。
そして銭湯に行く絵もこんなふうに変わっていくかもですね↓
※右側の男性はマイシャワーヘッドを持っています。