どうも、FriendはFeelingが大事なYO-PRINCEです。
『介護のA to Z』シリーズです。
今回は介護の『F』で、Family(家族)です。
介護は家族による介護からスタートすることがほとんどです。
入所して家族の手から離れたとしても、介護に家族の力は欠かせません。
介護における「家族」の持つ力をどのようにして使うかはとても大切な視点で、だからこそ「家族」の力が発揮しやすくなる支援が必要です。
私が、介護において「家族」という存在をどのように捉えて、どのような支援を心がけているかをまとめておきたいと思います。
家族が介護をしなければいけないのか?
家族だから面倒見るの当たり前じゃないんですか!?
こう言われる職員さんって多いと思います。
もっともな言い分ですが、実際のところどうなんでしょうか?
家族が介護しなければいけない法的根拠
家族が介護すべきのはもっともな言い分なのか・・・
答えは「もっともな言い分」です・・・。
根拠法令は・・・。
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある
※民法877条
夫婦は同居し、互いに協力し、扶助しなければならない
※民法752条
これをまとめると、親子、祖父母と孫、兄弟姉妹、夫婦のいずれかの関係にあるものは、相手が介護が必要となった状態のときに扶養することが法的に義務付けられているということです。
では、どの程度扶養しないといけないのでしょうか?
扶養の対象が、配偶者や未成年の子どもである場合と、それ以外の場合とで考え方が異なります。
配偶者や未成年の子どもの場合に求められるのは、自分と同程度の生活です。
それ以外は、自分の生活が維持できたうえで、経済的に可能な範囲で扶養義務を果たすということになります。
では、介護者の実情はどうでしょう?
家族のうち誰が介護をすべきなのか?
介護者の内訳をまとめた、平成28年の調査結果です。
介護者の6割が同居家族となっています。
で、その内訳がこちら↓
配偶者 25.2%
子 21.8%
子の配偶者 9.7%
多くの人の実感のとおり、配偶者と子が多いですね。
前述した扶養の考え方に照らし合わせて考えると・・・
配偶者は自分と同程度の生活が出来るように扶養しなければいけないということになります。
子は、経済的に可能な範囲で扶養義務を果たすことが求められます
配偶者は法的にも逃げ場がないことが見えてきます(・_・;)
こういった背景も、熟年離婚を増加させている原因となっているのでしょうか…?
配偶者が扶養できない場合に「子」の登場です。
やはり、長男が多いんでしょうか??
長男が親の面倒を見るべきという考え方が根強く残っていますが、法的根拠はありません。
兄弟姉妹が複数いる場合は、全員に親の扶養義務があるので、話し合いで決めることになります。
兄弟姉妹で話し合って、経済的に可能な範囲で扶養義務を果たせばいいのです。
そんなの現実的に無理でしょ??
みんなお金ないって言うに決まってるでしょ!?
・・・ですよね(^_^;)
たいがい優しい人間が損しちゃんですよ・・・。
で、優しい息子は嫁さんに愛想つかれちゃうんすよ・・・。
兄弟姉妹で話し合いがもめた場合は、家庭裁判所に決めてもらうのが健全です・・・。
家庭裁判所では長男に押し付けられるようなことは当然なく、経済状況や家族状況を考慮したうえで決められるのが一般的なようですよ。
ここまでをまとめると・・・。
まず配偶者に扶養義務があるから、できることなら配偶者に介護を頑張ってほしいと子は願います。
⇒夫婦二人暮らしの老老介護が増えて、子には迷惑をかけたくない親は追い詰められます。
⇒子が登場したときには、認知症が進行していたりして介護が大変な状況になってしまいます。
⇒子は誰が面倒を見るかでもめます。
⇒なかでも優しい子にしわ寄せがいきます・・・。
「扶養」と「介護」は違うのか??
さて、法的に見ていくと「扶養」という言葉ばかり出てきますが、「扶養」と「介護」は違うのでしょうか??
「扶養義務」としては、「面倒見的扶養」と「経済的扶養」があるそうです。
この「面倒見的扶養」に「介護」が含まれるわけですが、「扶養義務」は「経済的扶養」が原則で、「面倒見的扶養」を選択することができるという内容になっているようです。
つまり、法律で求められる範囲で経済的な支援をしていれば、「介護」をする必要はないということになりますね。
お金で解決出来たらいいですけど、結局はなるべくお金をかけないでおこうということで、「経済的支援」と「介護」を組み合わせながら「扶養」されている家族が多いんだろうと思います。
家族にとっていずれ「我が事」となる介護
家族には扶養義務が存在し、結局は家族の誰かが介護を担うことになります。
介護の問題は多くの場合突然降りかかってくるものです。
まさか、兄弟の介護を担うなんてことまで考えてないという方も多いのではないでしょうか?
現実は前述の扶養義務に関わらず、甥や姪が介護に当たられるというケースもちらほらあるんです。
介護は他人事ではない誰しも『我が事』の問題となりうるということです。
介護が『我が事』となったとき皆様ならどうしますか?
仕事しながら介護をするのか?それとも仕事を辞めるのか?
要介護者のもとへ引っ越すのか?それとも通うのか?
今までの生活が一変します。
…ですが、そうならないための準備はできるかもしれません。
昔ながらの考え方で言えば、家族の人生を犠牲にして介護をしていくというのが介護でしたが、今はそんなことはありません。
『介護の社会化』と言われていて、家族が抱え込むのではなく皆で支え合っていく時代で、そのために介護保険制度があります。
介護保険制度ができて20年が経過しようとしているわけですが、介護が『我が事』となっていない人たちにとってはまだまだ未知の世界だと思います。
そういった人たちに突然介護の問題が降りかかったとき、自分の人生どころではなくなってしまうことが多々あります。
いい支援者との出会いがあれば別ですが、現実はそんな出会いはなかなかありません。
介護の問題が『我が事』となったときに家族が自らの人生をも大切にできるように、早い段階から介護のことを知っておいたほうがよいと思います!
突然介護の問題が降りかかってくると、あれよあれよと決めなければいけないことに振り回されることがあるんです。
ケアマネジャーの脱「何でも屋」と必要な家族の力
介護が必要になったらケアマネジャーがなんでもしてくれるんでしょ?
そんなふうに思われている家族さんが結構いらっしゃいます。
そして、結構やってしまうケアマネジャーがいることも確かです。
ですが、ケアマネジャーができることには限界があります。
ケアマネジメントの標準化が求められているなかで、この先「何でも屋」のケアマネジャーは減っていくはずです。
例えば、受診や緊急時対応はケアマネジャーの本来の業務ではありません。
本来の業務だけでも多忙なケアマネジャー…。
ケアマネジャーがしなくていいことに振り回されていると本来の業務が疎かになることがよくあります。
それは結果としてケアマネジャーの支援の質を落とすことになってしまいます。
家族が安心して在宅介護をしていくために必要なことは、ケアマネジャーのすべきことは、自分やサービスでできることできないことを家族にしっかり伝え、家族の力を引き出すことです。
逆に家族がすべきことは、ケアマネジャーやサービスでできることをしっかり確認して、家族がすべきことだけは何とかできるように備えることです。
このことをケアマネジャーと家族の双方が共通の認識でいられると、結果としてケアマネジャーだけでなく家族も楽ができることが多いです。
一見、家族としては負担が大きくなるように感じられるかもしれませんが、私の経験上ルールのもとで動いているケアマネジャーのほうが家族の動きは少なくて済んでいます。
おそらくケアマネジャーが本来すべき調整力に力を注げ、安定を生んでいるのだと思います。
ケアマネジャーの質も様々かとは思いますが、家族が家族としてやるべきことが何なのかを考え備えておけば、きっと素敵なケアマネジャーとの出会いがあるでしょうし、ケアマネジャーとの良好な関係が築けるはずです。
そうすれば、在宅介護の質が高まり、家族としての人生も豊かにしてくれるはずです!
まとめ
以上、介護の「F」、Family(家族)でした。
介護において家族の力は絶大です。
今回は介護の入り口を中心に、介護における家族の存在の重要性を記事にしましたが、これまでも家族の力については記事にしてきました↓
どんな場面でも家族の力は欠かせませんし、家族にしかできないことがあります。
家族の力をうまく使うからこそ、介護の幅も広がり、介護の質も高まります。
そうしたことを、まだ介護のことを何も知らない人たちにも知っておいてほしいと思います。
介護の問題は振りかかった時に、準備があったほうが初動がスムーズに動き始めます。
何でもですが、初動って結構大事なんですよね。
もちろん初動を失敗しても修正することは可能ですが、やはり最初が肝心なことは多いです。
この記事を読まれたことをきっかけに、自分にどんな介護の問題が降りかかってきうるのかを想像してもらいながら、出来うる準備をしてもらえたらと思います。
このブログでも、家族の介護の備えに特化した記事も書いていきたいと思いますので、また参考にしてもらえたらと思います。
では、次回は介護の「G」、Goal(目標)で介護のこだわりを記事にしたいと思います。