どうも、ヨウPです。
今日はこちらのツイートを解説します。
入浴拒否がある認知症のAさん
— ヨウ-P👑 (@s_y_prince) 2019年11月29日
最近はすんなり入浴されてたが今日はお皿洗い中の声かけで入浴拒否🙅
仕事モードやから当然お風呂どころじゃない!
とりあえずテーブルに戻ってもらい一息つかれたところで声かけするとすんなり入浴👍
場面を変えてモード切替重要☝️#介護にまつわる小さな引き出し
注目したのは、『この人は今何モードなのか』ということ。
この『モード』を意識すれば介護はより楽になると思うんです!
実体験をもとにまとめたいと思います!
騙しも介護??介護現場で多用される騙しのテクニック
入浴拒否でも排泄拒否でもなんでもなんですが、介護現場ではとりあえず嘘をついてでもその場に誘導するテクニックを使うことが多々あります。
認知症の方はモード切替が苦手なんです。
いきなり風呂やトイレや言われても、そのモードになっていないし切り替えられないので拒否になってしまいます。
ですが、お風呂やトイレを見てしまえばモード切替ができることがあるので、介護士はとりあえずその場へ連れていこうとするのです。
そうしたことを体験のなかで習得していくんです。
Bさん、ちょっと来てもらっていいですか?
なんじゃ?…スタスタスタ
今日はなんか寒いですねぇ。あ!着きましたわ!こちらです!
なんや!?お風呂かいな!そうかそうか…。
こんなふうにして案外簡単に誘導できちゃうことが多々あるんです。
これはこれで介護の手法と思っていいと思います。
悪意のない優しさのこもった騙しなら立派な介護です!
ただ、これも万能というわけではありません。
冒頭ツイートのAさんの場合は、この騙しのテクニックが通用しにくいことが体験のなかで分かっていました。
そんなとき、皆さんならどうしますか?
なるべく短期間で利用者さんを『お風呂モード』にしたいわけです。
別にお風呂に無理に入らなくてもいいんじゃないの?
そう言ってしまうとその通りなんですけど、認知症の方の場合は次のタイミングで本当にうまくいくかわからないわけです。
それにその拒否はその場面その瞬間でたまたまそのモードじゃなかっただけのことってあるわけです。
工夫で簡単にモードが切り替わってお風呂に行ける方法があるかもしれません。
私の場合は、『お風呂に無理に入らなくてもいい』と思ってしまうと工夫が生まれるチャンスを逃してしまうので、『本当にお風呂に入りたくないのだろうか?』と疑ってみるようにしています。
この冒頭ツイートの場面でも一瞬お風呂はあきらめかけましたが、『いや、待てよ…』と踏みとどまって工夫を考えたのです。
Aさんはお皿洗いをしながら…
お風呂?行かへんで!今日は行かへんわ!
Aさんはお風呂と言われたことを若干うっとおしそうにされていました。
ある介護士さんは、私にこう提案してきました。
とりあえずさりげなくお風呂のほうに誘導してみましょうか?
このときは騙しのテクニックは今のAさんには通用しないだろうと判断し、『なんとかモードを切り替える方法はないものか』と考えたのです。
それに、できることなら『騙す』という方法以外の方法で介護したいというのが常々あったのでチャレンジしてみたいという思いもありました。
で、その方法が気持ちいいぐらいうまくいったんです(^_^)/
それが『モード』の切替だったんです!
モードに注目!場面を変えてモード切替!
さて、『モード』ってなんでしょう??
まずは、『モード』について簡単に触れておきたいと思います。
私たちは『モード』切替して生きている!
ここで使う『モード』というのは、「状態、態勢」のことを指しています。
具体例で説明したほうがいいので例をあげて説明しますと、冒頭ツイートの「仕事モード」というのが分かりやすいですね。
さぁ!仕事モードに切り替えてがんばるぞ!
私たちは、仕事に入るとき、人それぞれ程度の差はあるものの、仕事をする態勢に気持ちを切り替えています。
気持ちの面だけでなく、形から入る人もいると思います。
ヘアスタイルをバシッと整えたり、身なりを整えたり、女性なら化粧で仕事モードに切り替える方もおられると思います。
そして、鏡を見て「さぁ!今日も頑張るぞ!」と切り替える方もおられるかもしれません。
私は、仕事の質をあげるためには『モード』の切替は重要だと思っています。
特に、介護の仕事の場合は、私生活の延長線上で仕事に入ってしまうようなことが多くあると感じているので…。
言葉づかいは、その典型かと思っています。
これまでも介護現場での「言葉づかい」については記事にしたことがあります。
「言葉づかい」も気になっている方は、よければご覧になってください↓
『モード』を切り替えることが難しい介護という仕事。
本当はもっと『モード』切替した方がいいんだと思います。
そのほうがきっと楽ですし…。
言い方を変えれば仕事だと割り切るということ!
難しい対応の利用者さんの対応も楽な気持ちで向き合えることがありますしね。
少し話はそれましたが、『モード』は「仕事モード」だけではありません。
『遊びモード』『読書モード』『ボーッとするモード』『ブログ書くモード』…。
いろいろあります。
当然のことながら『家事モード』『お風呂に入るモード』ってのもあるということですね。
『モード』切替は環境が重要!
『モード』切替をするときに欠かせないのは何か??
それは環境です!
どういうことかと言うと、例えば「仕事モード」に切り替える時、直前に夫婦喧嘩をしたりしたときってどうでしょうか?
なかなか「仕事モード」に切り替えられないことがあります。
家を出るときは、なるべく平穏な状態のほうが当然「仕事モード」に切り替えやすいものです(^_^;)
そこから「仕事モード」に切り替えようとするために、好きな曲を聴いて『モード』切替する人もいると思います。
要するに、私たちは環境の影響を受けて『モード』切替しているのです。
つまり、『モード』切替するために環境の力を借りちゃえばいいということです。
私たちは『モード』切替をして生きています。
介護が必要な状態であったとしても、それは一緒です。
利用者さんにもある『モード』切替を意識すれば、いい介護ができることにつながるはずです。
『モード』切替は声かけで変わる!
さて、介護に『モード』切替を活用していく方法を書いていきます。
私たちは声かけでの『モード』切替は当たり前のようにしています。
◯◯さん、お風呂どうされますか?
そうやなぁ。
今か…。
そうなんですよ。
後にしますか?
今のほうがええんやろ?
しゃあないなぁ…。
ほな入ろか!
こんな感じで、利用者さんがうまく『モード』が切り替わるように声をかけています。
そこをうまく声かけないと…
◯◯さん、お風呂ですよ!
え?今か?
今やないと無理なんで。着替え用意しますよ!
ほんなんやったら、ええわ!今日は入らん!
利用者さんの『モード』を無視して声かけてしまうと、いとも簡単に入浴拒否になってしまいます。
入浴拒否って結構このたぐいで拒否になっていることも多いんですよね…(-_-;)
利用者さんの『モード』切替に大事なのは、利用者さんペースでの声かけということですね!
声かけでダメなら環境の力を使った高度な『モード』切替!
利用者さんに『モード』切替をしてもらうための基本的な声かけを押さえました。
声かけがうまく機能しないときには、環境の力を使ってしまいましょう!
それが冒頭ツイートです。
もう一度見てみましょう!
入浴拒否がある認知症のAさん
— ヨウ-P👑 (@s_y_prince) 2019年11月29日
最近はすんなり入浴されてたが今日はお皿洗い中の声かけで入浴拒否🙅
仕事モードやから当然お風呂どころじゃない!
とりあえずテーブルに戻ってもらい一息つかれたところで声かけするとすんなり入浴👍
場面を変えてモード切替重要☝️#介護にまつわる小さな引き出し
前述のとおり、私は何か工夫はできないものかと考えました。
できることなら「騙しのテクニック」は使わずに何かできないかと考えました。
そもそもAさんのなかにはデイでお風呂に入るという意識は毎回ありません。
普通に声をかけてもお風呂に入るかどうかを考えてしまいます。
なので、これまで使っていた方法がこれだったんです(すみません…Eさんになっていますが、Aさんのつもりで読んでください)↓
入浴拒否のある認知症のEさん。
— ヨウ-P👑 (@s_y_prince) 2019年3月2日
考えちゃうと行きたくなくなるから、考える間を与えないぐらいに分かりやすく元気にいけば全く拒否なくなった。
お風呂いきましょか😄寒なってきたからお風呂気持ちいいねー😆
イメージはナンパ師👫#介護にまつわる小さな引き出し
この方法を続けてきて、問題なく入ってもらえてたわけですが、いつも声かけるタイミングが席についておられるときだったんです。
声かけの内容もルーチンでしてきました。
朝のあいさつをしてから元気よく「さ!お風呂行きましょか!」とだけ声をかけるというもの。
この環境はAさんにとっては「お風呂モード」に切り替わりやすいのでしょう!
ですが、この日はお皿洗いをしておられました(^_^;)
いつもと違う…これはヤバいと思っていたら案の定の入浴拒否でした…(ー_ー;)
お風呂に入る気もなくお皿洗いを一所懸命されている人が急に「お風呂モード」に切り替わるわけがありません。
どうすれば、「お風呂モード」に切り替わりやすくなるのか…。
それは、いつもの環境に戻すことしか私の中にはありませんでした。
とりあえず席に戻ってもらって、10秒ほどAさんの様子を見て考えました。
さぁ…もう少し時間が経たないとさすがに「お風呂モード」に切り替わらないだろうな…。
でも、時間がない…。
もういいかな…。
認知症ってどのぐらいで忘れてしまうんだろうか…。
もう忘れてはるやろ…。
…そんなことを10秒ほど考えて、思い切っていつもの声かけです!
おはようございます!
さ、お風呂に入りましょうか!
はい、ありがとうございます!
見事に成功したわけです!
Aさんにとって「お風呂モード」に切り替わりやすいのはいつもの環境だったんでしょう!
『モード』切替しやすい環境を探る!
これぞ、『モード切替スイッチケア』なのです!
※『モード切替スイッチケア』とは私の造語です。
まとめ
最近ネーミングに凝っているで、『モード切替スイッチケア』と名付けてみました(^_^;)
ネーミングの良し悪しはさておき、今回のAさんの対応は私の中ではかなりの感動でした。
たった1~2分の手間で「騙しのテクニック」を使わずして入浴拒否の方を入浴に導けたわけですから!
介護にはこういった工夫が欠かせないと思っています。
その工夫は私たちの日常の中に隠れていることも多いものです。
私たちは何かをしている時どんなことを考えてどんな行動をしているのか…。
学ばずとも、そんな想像力と創造力で工夫が生まれることがあります。
勉強が苦手な方は、せめて想像と創造を意識してみましょう!
きっと新しいケアが生まれるはずです。
実は意識せずしてすでにやっていることに根拠を見出せることもあります。
とにもかくにも、この『モード切替スイッチケア』はどこかの誰かに使える技法だと思うので、ぜひとも使ってみてください!