どうも、何度か映画と絡めて介護の記事を書いてきたヨウPです。
そのなかでも、サスペンス映画は介護の記事を書くのに相性がいいと思っています。
介護は「謎解き」だと思っているからです。
というわけで、今回は2001年の「メメント」という映画をもとに「介護×メメント」で記事を書いていきたいと思います。
テーマは「時間軸」です。
『メメント』~記憶が10分しか持たない男の話~
「メメント」は、2001年のクリストファーノーラン監督の映画です。
前向性健忘という記憶障害
妻を強姦され殺害された主人公・レナードが、犯人を捜していくストーリー。
このレナードという男、10分しか記憶が持たない前向性健忘なんです。
前向性健忘とは…
受傷などをした時点以降の記憶が抜け落ちる状態。記憶障害回復後の出来事を記憶できない症状。記銘、すなわち新しい物事を覚えることができなくなってしまう状態。
妻が殺害された事件を機に前向性健忘になってしまったので、その後の記憶は10分で失われていきます。
そんな男がどうやって犯人捜しをしていくのか??
レナードは、ポラロイド写真にメモを残したり、身体に書き込んだりして、記憶を残すようにしながら復讐心に燃えて犯人捜しをしていきます。
これだけでも十分に面白そうですよね!
この映画を観た時、こんな記憶障害が実際にあるものなのだろうかと思いながら観ていました。
介護の仕事をしている私にとってはとても興味深いことなわけですが、この記事を書くに当たり「前向性健忘」を調べてみたところ、こんな記事を見つけました↓
実際におられるんですね…。
「前向性健忘」という記憶障害だけを見ても、介護につながる記事を書けそうですが、今回はそこではないんです。
この映画のストーリー展開に注目して認知症ケアについて考えてみました!
過去からの再生と現在からの逆再生を繰り返し衝撃のラストへ!
この「メメント」という映画のストーリー展開はこの見出しのとおりなのですが、ちょっとこれだけでは分かりにくいですよね(^_^;)
この映画のストーリーは、前向性健忘になって以降の話です。
犯人捜しを始めた過去からの再生は、モノクロシーンで始まります。
次に、カラーシーンに切り替わります。
これが現在とします。
モノクロシーンは過去からの再生。
カラーシーンは現在からの逆再生。
これが交互に現れ、衝撃のラストへと向かいます!
こんな時間軸のイメージですね↓
①⇒②⇒③⇒④・・・・衝撃のラスト!!
この時間軸の衝撃ラストに何があるというのか!?
そう思うとドンドンこの映画に引き込まれていきます!
衝撃のラストは、他の映画では味わったこともないものでした!
これだけシンプルでこれだけ衝撃を感じるなんて…。
観たことある方なら分かって頂けると思います。
まだの方はぜひご覧になってください!
…というわけで、映画の紹介はこのぐらいにしまして、今回注目したいのはこの時間軸なんです!
時間軸で考える認知症ケア
これまでの記事でも書いたことがありますが、認知症の方は過去の世界で生きておられることが多くあります。
新しい記憶から失われていくからです。
その過去の世界に飛び込んでいく感覚で介護をします。
こちらの記事のような感覚です↓
認知症の方が過去に生きておられるところへ、介護士は現在から関わっていきます。
先ほどの「メメント」の時間軸のイメージをもとに書くとこんな感じです↓
例をあげて考えてみましょう↓
①おかあさんどこ行ったんや?
②(おかあさん?奥さん亡くなられたんじゃなかったかな…。)え?奥さんですか?
③花子…どこ行ったんや??
④(花子?奥さんの名前、花子だったかな…?母親のことか!)おかあさんね…、どこやろねぇ??
⑤何にも食べてへんのや…。
⑥(お腹すいたから、おかあさんを探してるんか!)もうご飯用意できますので、ここで待ってましょか?
そうか!今日も松茸採れたんかな?
松茸…(@_@;)今は…山に熊おるからな…(-_-;)
例えば、こんな感じですね(^_^;)
介護士は、認知症の方のおられる世界を「いま」という時間軸から「過去」へと遡って探っていくわけです。
認知症の方は時間軸のどこにおられるのか?
この時間軸を意識しながら介護をすれば、思考が整理しやすいように思います。
そして、認知症の方が「いま」おられる時間軸に近づくためには情報が必要になってきます。
「メメント」のレナードが、ポラロイド写真のメモや身体に書き込んだメモを頼りに犯人捜しをしているように、その利用者の情報を数多く持っておくのです。
その手がかりは、きっと役立つはずです!
…とはいえ、前向性健忘の方も認知症の方も結局は「忘れる」ので、どれだけ情報があってもうまくいくことばかりではないですけどね…(^_^;)
…おっと!これ以上書くと映画のネタバレになりそうなので、この辺で止めておきます。
というわけで、映画「メメント」を観ておられない方はぜひ一度ご覧になってください!
時間軸というものを意識できる映画であること間違いなしです!
まとめ
映画『メメント』、必見です!
時間軸が交差するので分かりにくいところもあるかもしれないので、記事に書いた時間軸のイメージを頭に置いて観てください!
比較的見やすくなると思います!
これだけシンプルでこれだけ衝撃を与えるラストは他にないと思います!
かなり斬新なラストですよ!
映画の面白さについてはこれぐらいにしまして、介護につながる学びができるという点でも必見です!
今回の記事では認知症ケアにつなげるために時間軸に注目しましたが、前向性健忘に注目してみても十分介護につながる学びがあります。
10分間の記憶が失われ続ける男は、常に今しか生きることができないことが見えてきます。
どれだけ写真を撮ってメモを残し、身体にまでメモを残しても…、「忘れる」のです。
認知症の人にも同じことが言えると思います。
この映画「メメント」では「忘れる」ということの怖さを描いていますが、「忘れる」という障害を持つ人への理解を求めている映画とも言えると思います。
皆様も映画「メメント」を見て、「忘れる」という障害への理解を深めてみてはいかがでしょうか?