どうも、YO-PRINCEです。
人手不足が蔓延する介護業界。
人間関係が退職理由の上位にあがる介護業界。
人手が減れば減るほどストレスは募り人間関係はさらに悪化し、打つ手がなくなるような職場があちこちにあります。。。
ところが、人間関係というのは実は人が多ければ多いほど厄介なものです。
職員が少ないときのほうが上手く業務がまわっていたりもするものです。
職員が増えたからといって余裕ぶっこいてしまうと後々大変なことになっている・・・というのが打つ手がなくなってしまった職場の実態なのではないでしょうか。
今回は、介護現場と「業務効率と人間関係の関係性」について見ていきたいと思います。
職員が増えると業務効率は落ちる?
仕事というのは、10人いれば10人で11人分の力を発揮するのが理想です。
ところが、10人に増えたのに9人分の力にしかなっていないことってありませんか?
これは介護業界に限らずあらゆる職場で言えることだと思います。
なぜ、職員が増えたら業務効率が落ちるのか?
その理由は3つあると考えます。
①人間関係が複雑になる
②リンゲルマン効果(社会的手抜き)
③人の悪いところが見えてくる
介護現場ではどんなことが起きているんでしょうか?
具体的に見ていきたいと思います。
人間関係が複雑になる
これは言うまでもないと思いますが、職員の数だけそのチームに多様な考え方が存在することになるので、チームがまとまりにくくなります。
職員が少ないチームでも人間関係が複雑と感じられることもあると思いますが、決して複雑ではなくて問題はシンプルなことが多いと思います。
なので、職員数の多い組織のほうが当然まとめることは大変になってきます。
今まで体験してきた組織のなかでは、やはり特養や老健は人間関係が複雑でまとめるのは大変かと思います(^_^;)
特養や老健では組織を分けることが多いと思います。
介護と看護のチームを分けて、それぞれのチームにリーダーを配置したりして大きな組織をピラミッド型でまとめていくわけですが、人が多いとどうしても派閥たるものが出来あがってしまいます。
これは小さなチームでも人が増えてくると派閥ができてしまうようなことが多いと思います。
それがより人間関係を複雑にしてしまう理由です。
こうなってくると、日本の政治を見ているようです(-_-;)
介護現場で組織を俯瞰して見ていると、人事をする際には、派閥ができないような人間関係にも配慮した人事が必要な気がしてなりません。
リンゲルマン効果(社会的手抜き)
社会的手抜き(しゃかいてきてぬき)は、集団で共同作業を行う時に一人当たりの課題遂行量が人数の増加に伴って低下する現象。リンゲルマン効果、フリーライダー(ただ乗り)現象、社会的怠惰とも呼ばれる。
これも考えてみるとフムフム…と納得の話です。
例えば、10人の利用者の入浴介助を一人でする場合は、1人の力は100%です。
これが2人で入浴介助をすることになれば、ゆっくりと入浴介助をすると思います。
80%の力でする人もいれば、60%の力しか出さない人もいると思います。
さらに3人で入浴介助することになると、さらに力の入れ方は変わっていくと思います。
40%の人もいれば、30%の人もいるかもしれません。
それでもなお80%の人もいると思います。
これが社会的手抜きと言われていて、フランスの農学者リンゲルマンの実験結果から明らかになった現象であることからリンゲルマン効果と言われています。
このリンゲルマン効果は、介護現場で人がいるのに業務効率が落ちる一番の原因かもしれませんね(^_^;)
3人で仕事をしていたとして、80%の力で仕事をしている人からすれば30%の力でしか仕事をしない人を見ていて腹が立つのは当然ですし、30%の力しか使っている職員が他で力を発揮してくれればよいんですが、そうでもなかったりするとどうしようもありません。。。
そんなことが介護現場では多く見受けられます。
いや、これは介護現場に限らない問題だと思います。
介護は手抜きも大事なんですが、手の抜き方にもルールがいるのかもしれません。
ちなみに、このリンゲルマン効果は、働きアリの法則や2-6-2の法則と同じことを言っているのだと思います。
こちらの記事で、働きアリの法則について書いています↓
人の悪いところが見えてくる
これは、人間がもともと持っている性質だと思います。
人の良いところは、見ようとしなければ見えにくいものです。
これについてはこちらの記事で書いているのでご覧ください↓
汚い絵付きで解説しています(^_^;)
人間はもともと悪いところに目が向きがちなわけですが、忙しいときはそれどころではなかったりします。
目の前の仕事に一生懸命ですから(^_^;)
これが、仕事に余裕が生じ始めたときに、前述のリンゲルマン効果による仕事への手抜きであったり、職員の悪いところが良く見えるようになってくるものなのです。
これは20年以上介護現場に身をうずめて、ずっと付きまとってきた問題です。
人の良いところを見る。
人の良いところを褒める。
そんなことが当たり前のように言われている時代に、なかなかそうなりがたい現実と向き合ってきたわけです。
忙しいと忙しいで大変なわけですが、少し余裕が出来ると出来たでめんどくさい現象が起きる・・・。
職員が増えるとめんどくさいことが起きやすい・・・。
職員が少ないほうが意外とチームはまとまったりしている。
ということは、職員が少ないときに何ができるか?ということになるんじゃなかろうかと思うのです。
職員が減ったときにすべきこと
職員が減った時、リンゲルマン効果で考えると、職員の力は少ないときより発揮されるものです。
不満ばかりのチームであっても、その時ばかりは何とかしようという力が発揮されるものです。
これはもしかしたらの日本人の特徴なのかもしれません。
日本人の「助け合いの精神」の力を借りて業務改善
東日本大震災のときに、日本人の助け合いの精神は世界を驚かせていました。
それ以前もそれ以降も、そうした日本人の助け合いの精神は変わらずあります。
いったんはそうした日本人の精神を生かしてチームをまとめてよいんではないかと思います。
ここで押さえておきたいのは、そうした「助け合いの精神」に甘えるということではないということです。
大事なのは、助け合うなかでやってきた仕事をもとに、その成果をもって最少人数でもできる仕事の仕方をシステム化しておくということです。
なぜ少人数でも上手くいったのかを考えます。
すべてが「助け合いの精神」で成り立ったわけではないはずです。
そうして、職員一人一人が90%程の力を出していたところを70、80%程の力でも仕事が成り立つ方法をシステム化していくわけです。
職員が少ないときは「余裕がある業務」に気付けるチャンス!
例えば、通常3人でしていた食事介助を2人で何とかしたとします。
「何とかなるもんやな!」ってなります。
なんなら「2人でも余裕やん!」ってなったりします。
そうなると、食事介助にあたる職員数を減らせるかもしれません。
にもかかわらず、職員は増えたときに食事介助は3人に戻ってしまうのが介護あるあるではないでしょうか?
職員が少ないときは、余裕がある業務に気付けるチャンスとなる場合はあるのです。
職員が少ないときの「気づき」を業務改善に生かす!
介護の仕事にはもっともっとしなければいけないことがあるはずですし、こだわらなければいけないことがあるはずです。
ここで考えるべきことは、この浮いた1人で何ができるかなのです。
他の業務の負担をとるのか?
介護の質を高めるのか?
今までできていなかったことに取り組むのか?
「今までできていなかったこと」というのはいろいろあると思います。
「ヒヤリハット」活動をもっと積極的に行おう!
どうしても時間外になっていた業務を時間内にやってみよう!
ちょっと余暇支援に力を入れてみよう!
今のチームが盛り上がりそうなことをやってみればいいと思います。
職員が少ないときは、職員が少なくても出来た成果にこそ目を向けるべきです。
日本人の「助け合いの精神」による「何とかしよう!」という職員のパワーをうまく活用しながら、次なる段階に向けてそれぞれの職員の力を20%ぐらい下げて業務に当たれる方法を見つけてみるとよいと思います。
くれぐれも「助け合いの精神」に頼り切って終わってしまうことのないように・・・。
そうやってただただ何とかして苦しい時期を終えてしまうと、人が増えた時に職場にあるのは・・・
①人間関係が複雑になる
②リンゲルマン効果(社会的手抜き)
③人の悪いところが見えてくる
職員が少ないときにこそチームの方向性を明確にしておきましょう!
職員が少ないときにこそ本来もっとすべき仕事を明確にしておきましょう!
そうすれば、職員が増えたときに①~③のようなことが起こりにくくなってくれるはずです。
まとめ
人が増えればめんどくさいのは、人間という生き物がそもそもめんどくさい生き物なので仕方ないと思います(^_^;)
経験上、人が少ないときにこそ手を打っていくと改善につながりやすいです。
人が少ないときの成果こそが「業務改善」につながります。
ただ、どうあれ「業務改善」というのは難易度は高いかもしれません。
そういうことが得意な職員がいたら何とかなると思いますが、そうでなければ難しいと思います。
どうしても「忙しい」「大変」といった目先のことばかり見てしまう人が多いですから・・・。
もし、「業務改善」が得意な先輩や上司がいたら、この記事をもとに頼ってみましょう!
業務改善についてはこんな記事も書いていますので参考にしてみてください↓