どうも、YO-PRINCEです。
今回はこちらのツイートについて解説したいと思います。
利用者さんに体を動かしてもらうための声かけもちょっとしたズレが生じうる。
— YO-PRINCE👑 (@s_y_prince) 2019年5月14日
👳よっこらしょ!
👴よっ!
👵せーの!
👵せーのーで!
👲いっせーのーで!
タイミングの合う声かけをしよう!#介護にまつわる小さな引き出し
このツイートではタイミングのズレをとりあげていますが、介助においてのズレはそれだけではありません。
上手く介助するための方法の一つとして、「タイミング」と力の「方向」のズレをなくしていくというのが効果的です。
介助の「タイミング」のズレ
冒頭のツイートのとおり、どんな介助もタイミングの合う声かけというのは大事な視点です。
タイミングを合わす声かけの一例として、「せーの」や「いっせーのーで」を取り上げていますが、まずこの声かけから「タイミング」について考えていきたいと思います。
立つ動作で「タイミング」を考えてみる
例えば、「今から立ちますよー」っていうときに、自分でタイミングをとる方はどうしているかというと・・・
よっこらしょ!
どっこいしょ!
そんな風に声を出したりします。
元気な人はそんなことも言わないですが、動きにくくなればなるほどこういった声だしを自然とされますし、そのスピードな遅くなっていきますよね。
声だしのスピードはいったん置いておいて、この場合の立つタイミングは「しょ」なわけですが、「しょ」の前に一拍置く人もいるかもしれません。
「しょ」から動こうとするけどすぐに動けずしばらくしてお尻がようやく浮き始めることだってあります。
人はそれぞれに何かをするときにその人なりの「動くタイミング」があります。
「動くタイミング」はまず「その気になる」という段階があります。
介助者は本人がその気になるまで待たないといけません。
そして、その気になったら「よっこらしょ!」がやってきます。
冒頭ツイートのとおり、「よっ!」だったら早速に立とうとされるかもしれませんし、「せーの!」で立つと思ったら「せーのーで!」かもしれません。
声だしなどなく、動作を観察しながらタイミングを見計らう必要があるかもしれません。
立つことに介助が必要な人は、その人がその気になって立とうとしたタイミングで本人の力が加わり、そこを補うようにタイミングよく介助者の力が加わればスッと立てるというわけです。
このタイミングを考えるだけでも介助は楽になりますし、本人も格段に立ちやすくなります。
立つ以外の動作にもある「タイミング」
「動くタイミング」はまずは「その気になる」ことです。
これはいろんな生活動作で必要になります。
「食べる」で言えば、口を開けるタイミングというがあります。
食べることに時間がかかる人は、モグモグが長かったりして介助者が待てずに無理やりスプーンを口に当てて口の中に入れようとする介助をしてしまうことがあります。
食べるで言えば、
カミカミ⇒モグモグ⇒ゴックン
・・・ですよね。
なので、ゴックンを確認したうえで、次の一口に向かうタイミングを考えます。
そのタイミングの前にはいろんなことを考えたりします。
何を食べようかな・・・
とりあえずお茶を飲みたいな・・・
もう止めとこかな・・・
意思を表出することが難しい方なんかは、介助者はそんな思いを想像しタイミングを見計らいながら声かけをして食べる介助をするわけです。
そんな気持ちで介助をしていると、その人の口の開くタイミングが分かってきたりするんですよね。
これは、どんな介助場面でも言えることなので、あらゆる場面で「動くタイミング」を考えた介助をやってみてください!
介助の「方向」のズレ
介助のタイミングが合えば、次に介助の方向です。
これも立つ動作が分かりやすいので立つ動作でまずは考えてみます。
立つ動作で「方向」を考えてみる
立つという動作の方向は、介護を知らない人はどうしても「上」の方向をイメージしがちです。
元気な人が立つときの動作を見ると、確かにその方向は「上」です。
これは元気な人は脚力もあるし腹筋の力もあるしでスッと「上」の方向に立てます。
考えないといけないのは、タイミングと一緒で動きにくくなってくると段階を踏んで動くようになるということです。
タイミングで言えば、その気になる準備として声だしをしてから立つ動作に移るという段階を踏みます。
方向は、こんな段階を踏みますよね↓
足を手前に引く⇒おじぎをする⇒お尻をあげる⇒頭をあげる⇒立つ
こんな感じでいくつかの動作を組み合わせて立っています。
このそれぞれの段階で介助する方向を考えながら介助をすると介助者も本人も楽に立てます。
介助が必要な人は、元気な人のようにスッと「上」の方向へは立てません。
自分が重たいものを背負って立つときにどんな動くをするかを考えてみると介助が必要な人の立つ動作がイメージしやすいかもしれません!
体験は大事です!
ぜひやってみてください!
立つ動作以外の「方向」
まず起き上がりで考えると面白いですね。
私たちは腹筋をつかってガバッと起き上がりますが、介助が必要になってくるとこの起き方が難しくなります。
まずは横を向いてから起き上がっていくことになります。
身体がしんどい想定で自分がどう動くかをやってみるとよく分かります。
どんな動作かを写真付きで説明したいところですが、そこは省略させていただいて、こちらの「すなおさん」の記事でご確認ください↓
「ベッドからの起き上がり」のところ、ご覧になられましたか?
まずは横を向くんですよね。
腰に負担をかけずに起き上がられるという効果もあるということです!
こんなふうにして、元気な人の身体の動きと介助が必要な人の身体の動きは違うことが多いです。
「立つ」「起き上がる」を考えただけでも、これだけ動く方向が変わってくるということを知るだけでも介助は変わってくると思います。
他の場面に目を移すと、食事でも方向は考えます。
食事介助を受けるときにどの方向からスプーンが来れば食べやすいかを考えます。
自分で食べられなくなったときに、自分で食べるのであればどの方向から食べ物が口に運ばれるでしょう?
その方向で介助をしてあげると自然かと思います。
普通に考えれば下方からなわけですが、いまだに立って介助してしまう人もいます。
上の方向から介助をしてしまうと、アゴがあがってしまって飲み込みがしにくくなります。
少しアゴをあげて唾を飲み込んでみると飲み込みにくさが分かってもらえると思います。
アゴを引いて飲み込みやすい姿勢で食べられるような方向から自分で食べるかのような自然なかたちで食べ物を運びます。
もっと配慮するなら利き腕のほうから食事を運べばより自然ですし、麻痺がある方は健側(麻痺がない側)から食事を運ぶと安全に食べることができます。
方向だけ考えても介助の幅は広がるはずです!
介助の「ベクトル」に「大きさ」は必要なし!
「タイミング」と「方向」のズレが修正できれば介助の「力」は最小限でいけます!
「タイミング」と「方向」が合えば、本人が動きやすくなるからです。
介助者は「力」が必要なくなってきます。
こうなると介助者も楽になっていきますよね(^_^)
「力」の「方向」と「大きさ」をもった量のことを「ベクトル」と言いますが、この「ベクトル」を使って説明すればこうです↓
本人の力の「方向」がこれとします↓
この本人の力の方向と間違っていると、力の「大きさ」はたくさんいります。
力の「方向」が合っていると力の「大きさ」はたったこれだけです!
介助の「ベクトル」は「向き」を合わせて「大きさ」は必要なしです!
介助者が「力」を使わなくてもいい介助を考えるということはとても面白いです!
「タイミング」「方向」を考えていれば「力」は必要なくなっていくという体験をどんどんしてみてください!
力任せの介助におさらばしましょう!
まとめ
今回の記事は、「タイミング」「力の方向」の2つの視点で「介助」を捉えてみました。
無駄な「力」が不要なことは以前にこちらの記事でも書いています↓
☝この記事では、その人の動きの「癖」なんかにも注目していますが、今回「タイミング」のところで触れたことも同じことを言っています。
その人のタイミングは「癖」ですから。
なるべく「力」を使わず、「タイミング」と「方向」で介助を考えることはシンプルで分かりやすいと思います。
あと忘れてはならないのは環境の力を使うということですね。
環境の力については以下の記事を参考にしてください↓
介助は「タイミング」と「方向」を考えるだけで、本人・介助者ともに楽になります!
あとはこの記事では触れていませんが動きやすい「環境」を考えてあげるということですね!
「力」は最小限にしていきましょう!
介助者のためだけじゃなく本人のためにも!