どうも、ヨウPです!
今回の記事は、1957年のアメリカ映画「十二人の怒れる男」から介護のことを考えてみました。
「介護×十二人の怒れる男」でお届けする今回の記事のテーマは「決めつけ」です。
人の人生を左右する『十二人の怒れる男』
この映画は、法廷映画の傑作と言っていいと思います!
これまでいろんな法廷映画を観てきましたが、私の中では間違いなく一番です!
この映画は「密室劇の金字塔」とも言われていて、ほとんどが一室の部屋で話が進んでいくんです。
そのシンプルさゆえに話の展開が分かりやすく、法廷ものの難解さを感じさせないので誰でも楽しめるんじゃないかと思います。
興味を持たれた方は、まずはこちらの動画をご覧ください↓
あらすじだけですが、とても分かりやすくまとまっていますよ(^_^)
この映画は、父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、陪審員が評決に至るまでのやりとりを描いています。
一見誰もが有罪と思う事件で、11人の陪審員が有罪に手を挙げ、1人だけが無罪に手を挙げる…。
11:1の状況から物語は始まります。
そこから無罪を主張する陪審員が1人2人…と増えていくわけです。
もうこれだけでも十分面白さが伝わってくると思います!
この映画を観て思ったことは、世の中には多くの偏見があるということだけでなく、深く考えずに多数派に合わせてしまう心理が働いていることが多いということです。
そんな心理が人の人生を左右する陪審員にも働くと思うと、とても恐ろしいことだと思いますよね…。
日本では平成21年に裁判員制度が始まっています。
国民も裁判に参加しうる時代となり、誰もが人の人生を左右しうる場面に遭遇する可能性があります。
この映画を観て、偏った見方で「決めつけ」にならないような思考を身につけておいてはいかがでしょうか?
きっとその思考は生活に役立つはずです。
だって、人は「決めつけ」のなかで生きていることのほうが多いですから…。
「決めつけ」の多い生活
今や「個性」の時代と言われています。
昔のように、「男は男らしく!」「女は女らしく!」なんて時代ではありません。
周囲の力によって、どんな生活をするかが「決めつけ」られてしまうことは少なくはなっています。
それでも、「決めつけ」はなくならないものです。
周囲の人たちからの「決めつけ」以外にも、実は自分自身のなかにも「決めつけ」って起きているんですよね。
実は「習慣」がそうなんです。
「習慣」って、「その人らしさ」のように使われることもありますが、本当にその「習慣」は「その人らしさ」なんでしょうか?
「習慣」は情報で変わりうる!?
例えば、人にはこんな「習慣」があります。
私は毎朝起きたらまず歯を磨きます!
僕は出かける直前に歯を磨いてます!
この二つはどちらも間違いではなく、どちらもそれぞれの「習慣」です。
皆様はこの「習慣」をどう捉えますか?
それぞれの習慣で生活すればいいと思うわよ!
それぞれの自由なので、もっともな言い分ですね。
…はたして、それが正解なのでしょうか?
「習慣」となっていることが実はただの「決めつけ」であることは多々あります。
え?
朝起きたときに歯磨きしないの?
気持ち悪くない?
出かけるときに歯磨きしてるから大丈夫やけど…。
それより朝ごはん食べてから歯磨きしないほうが嫌やないんか?
そう言われたらそうやなぁ…。
「習慣」となっていたことは、いとも簡単にくつがえることがあります。
今の時代は情報にあふれているので、いろんなことのメリット・デメリットを確認することができます。
そして、私たちはそれらの情報をもとに「習慣」を書き替えているんですよね。
こう考えると、「習慣」というのは実はその人自身のその時のただの「決めつけ」であることが多いことが見えてきます。
「思い込み」と言ってもいいかもしれません。
そして、周囲の人たちも「あの人の習慣だ」と「決めつけ」てしまうことが多くあるもので、誰も指摘してくれなくなる…。
その人の「習慣」は変わりようのない「こだわり」になってしまうんですよね(^_^;)
「こだわり」になってしまうと、その「習慣」って変わらないんでしょうか?
「習慣」は時間とともに変わりうる!?
「こだわり」となってしまった「習慣」は、「その人らしさ」と化します。
年とともに「こだわり」は強くなっていくことが多いですもんね(^_^;)
はたして、本当にそう「決めつけ」てしまってもいいのでしょうか?
皆さんはこんなことを聞いたことはありませんか?
『頑固だったおじいさんでも年とともに丸くなる』
都市伝説のように語られますが、実際にそういうことってありますよね(^_^;)
あれだけタバコを吸っていたおじいさんがピタッと止めた!?
あれだけ高い化粧品を使っていたおばあさんが化粧をしなくなった!?
老化や認知症等によって変わってきたこれらの「習慣」をどう捉えるか…。
その人の「習慣」が失われたと捉えるのか?
あのおじいさん、タバコを好きなことも忘れてしまったのか…。
化粧してキレイにされていたのに…。化粧したいんじゃないのかな…。
その人の「習慣」が変わったと捉えるのか?
タバコを止められてよかった!いいことだと思うよ!
化粧をしなくなることって普通にあると思うよ!
捉えようで変わってきますよね。
私は、どちらの思考も持ち合わせることが大切だと思っています。
私たちだって、これまで生きてきて「習慣」を変えてきています。
誰かのために「習慣」を変えることもあれば、なんとなく「習慣」を変えることもあります。
年とともに「習慣」が変わってきたということもあると思います。
昨日までしていた「習慣」が今日変わっていることもあります。
介護の仕事をしていると、“高齢者は「こだわり」が強い”というイメージのせいか、利用者さんに対して「◯◯さんはいつも△△ですよ」と「決めつけ」てしまうことが多くなる傾向があります。
私としては、そういった傾向はちょっと危険だなと感じています。
私たち介護士の「決めつけ」によって、良い方向に変えられる「習慣」が継続されてしまっていたとしたら…。
これまでタバコを吸っておられたのなら1本ぐらい吸わせてあげましょうよ!
これまで使われていた化粧品を買ってあげて化粧してあげましょうよ!
一見イイことのように見えますが、ちょっと立ち止まったほうがいいと思うんです。
この逆もありますよね(^_^;)
タバコのことは忘れてしまったんだから、今のままで問題なし!
化粧しないほうが楽だし、本人さんもそのほうがいいんだよ!
介護現場は、こういう極端なことが起こりやすいんですよね(-_-;)
こうした極端な意見が、職場の中で偏ってしまうことが多いんです。
『十二人の怒れる男』のように、11:1のような構図になっちゃうんですよね…。
人の人生を左右する『十二人の怒れる介護士』?
タバコを例に挙げて、介護士12人いる職場で考えてみましょう。
利用者さんがタバコを吸うことに対して積極的な施設では、11人ぐらいはこう言います。
とりあえず1日1回でもタバコを吸ってもらいましょうよ!
で、1人だけ悶々とこんなことを思っていたりします。
タバコ止めれたんじゃないのかな…。せっかく止められたタバコなのに…。
正しい考え方ですよね(^_^)
で、利用者さんがタバコを吸うことに消極的な施設では、11人ぐらいはこう言います。
タバコを吸ってたんですね~!うちは完全禁煙やからよかったな!
で、1人だけ悶々とこんなことを思っていたりします。
いやいや、本人の思いをちゃんと聞かないと…。もしタバコを吸いたいのなら何かできる方法あるかもやん…。
これも正しい考え方です(^_^)/
12人のうち11人が偏った意見で盛り上がってしまう施設で、真逆の意見なんて言えないわけです。
タバコの事例で言えば、どちらがいいとも言い難いところがあると思いますが、どちらであっても思想が偏った施設が危険だと感じますよね。
そういう意味ではいろんな考え方が混在するような施設のほうが健全と思えてきます。
極端な理念で偏ってしまわないようにしたいものですよね。
映画『十二人の怒れる男』のような議論ができるような施設も面倒なような気もしますが、少数派の意見がちゃんと言える職場環境がとても大切です。
『十二人の怒れる介護士』を目指すようなことは、これまた極端ですが、『十二人の怒れる男』を観て考えてみることは今の介護現場に大切なことだと思います。
『決めつけ』が多くて意見が偏って困っているという職場の皆様、この映画を研修にでも使ってみてがいかがでしょうか?
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『十二人の怒れる男』がちょっと堅苦しければ、三谷幸喜監督のパロディ映画を使ってもいいかもしれません!
『12人の優しい日本人』、これまたおススメですよ!
まとめ
介護施設の経営には理念が必要不可欠です。
理念が理解されていなければ、やりたい放題になってしまい、どうしても職員都合になってしまいます。
とはいえ、利用者本位の素晴らしい理念であまりに偏った介護施設を作ってしまうと、それはそれで危険なことがあります。
介護するうえで、「偏り」って邪魔になることがあるんですよね。
その正体こそが「決めつけ」なわけです。
介護施設に限らずですが、組織というのは集団の心理が働いて一つの「決めつけ」から「偏り」が生まれがちなんですよね。
「決めつけ」なしで少数派も意見できる職場環境作りに努めましょう!
なんせ介護は「人の人生を左右する」仕事ですから!
ちなみに、私の介護の理念は『介護の答えを探し続けよう!』です。
介護の答えは見つけてしまわないほうがいいんですよ(^_^;)