学ぶ介護×漫才エトセトラ♪

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リスクマネジメントの第一歩はミスが言える環境作りだ!

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どうも、ヨウ-Pです。

先日Amazon primeで『僕たちがやりました』を観ました。

以前に原作の漫画を読んでとても面白かったこの作品。

僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)

僕たちがやりました(1) (ヤングマガジンコミックス)

 

原作もドラマも必見です!

さて、この作品をもとに介護にも起こりうる『僕たちがやりました』を考えてみたいと思います。

『僕たちがやりました』で考える加害者の心理

イタズラのつもりで仕掛けた爆弾が大爆発し死者10名の大惨事に。。。

四人の仲間が自分たちが犯人であることを隠し通すことを決意するところから物語は動き始めます。

隠そうとすればするほど苦しくもあり怖くもなり、バレかければ怖くなる一方でそれを望んだり。。。

主人公のトビオの場面場面での心の声は痛いほど心に突き刺さってきます。

ドラマでは窪田正孝がトビオを演じているのですが、これがまた名演技で感情移入してしまうのです。

脇を固める俳優陣も原作のキャラ通りで原作好きの方も違和感なく楽しめます。

極めて人間らしいとも言える心の揺れの描写が見事で、「生きる」ということについて考えさせられる物語なのです。

そして、取り返しのつかない罪を犯してしまったときにどうやってその罪を償うべきなのか・・・そんなことも考えさせられます。

加害者側の心理を描いた映画なので、被害者側の立場で描かれたときには印象がガラリと変わるでしょうね。

最近、想像しがたい事故や事件が続いている中で、やはり私は被害者側が守られるべきという考えが先立ちますが、それでもこの作品を見ると加害者側の心理を考えざるを得なくなります。

もちろん罪を罪と思っていないような人間の場合は、別問題だと思いますが・・・。

いずれにせよ、私たち人間が罪を犯してしまったとき、この作品と同じような葛藤があると思います。

自分が車で人を轢いてしまったとしたらどうするかって考えてことありませんか?

「そんなつもりじゃなかった・・・」って気持ちになって逃げるかもって思うかもしれません。

ところが私たちは、そうした事故や事件を第三者として見たときに「逃げるなんてありえない!」なんてことを簡単に口にしてしまいます。

人は体験したことのない場面でどんな行動をとるのかは想像を超えたものがあります。

罪に問われるようなことをしてしまったとして、『僕たちがやりました』って言うのって勇気いると思いませんか?

介護現場の『僕たちがやりました』

介護現場でも事故が後を絶ちません。

限られた人員体制で認知症の利用者や訴えの多い利用者の介護をするとき、平常心を保つのは容易ではありません。

それこそ、人が体験したことのない場面が介護現場にはあります。

同時多発的に転倒のリスクが高まる場面もあります。

そんなときに、どのリスク回避を優先させるというのか??

そんな究極の選択のような場面を私もまた体験してきましたが、幸い大きな事故につながったことはありません。

運が良かったというのもあると思っています。

そんななか、ある介護事故にこんな司法の判断が下されました。

mainichi.jp

この転倒事故は、認知症で転倒リスクが高かった利用者が転倒し死亡した事故で、転倒が予測でき見守りしていれば事故は防げたはずとのことで施設に2800万円もの賠償命令が下されたものです。

こうなってくると、“転倒を予測していたのに忙しくて見守れなかった”という介護士は怖くて本当のことを言えないかもしれません。

「予測できました・・・。」なんてことを言ってしまったらどうなるんだろう・・・。

私ならきっと不安になります。

自身のこれからの人生が。。。

こうなってくると介護業界に隠ぺい体質が根付いてしまわないかと心配になります。

『僕たちがやりました』と言える組織作り

隠ぺい体質を回避するためには、各施設がリスクマネジメントに取り組むしかありません。

リスクマネジメントというのは、欧米で生まれた事故防止の手法で、『人はミスをしうる』という前提のもとで対策を講じていくものです。

リスクマネジメントが機能していくためには、「ミスが言える」ということがとても重要になってきます。

どうでもよいようなミスでも言える環境をつくる

 人はミスを隠したがる生き物です。

どういう環境でミスを隠したがるか分かりますか?

それはミスが少ない環境です。

ミスが少ないというより、ミスが表面化していないだけの環境ですね。

あたかも皆が完璧であるかのような環境を作ってしまっていたり、ミスなんて誰もがしているといったミスを軽視しているよう環境になっているか・・。

どちらでも恐ろしい環境です。

どうでもよいようなミスでも“ミス”として捉えなければいけません。

ハインリッヒの法則『僕たちがやりかけました』

ハインリッヒの法則というものがあります。

一件の大きな事故・災害の裏には、29件の軽微な事故・災害、そして300件のヒヤリハット(事故には至らなかったもののヒヤリとした、ハッとした事例)があるとされる。重大災害の防止のためには、事故や災害の発生が予測されたヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが必要である。

※ウィキペディア:ハインリッヒの法則より抜粋

1件の事故に300件のヒヤリハットがあるとされているわけですから、そのなかには当然どうでもよいようなミスも含まれており、そこから対処していくことが必要なわけです。

なので、どうでもいいようなミスでもミスとして表面化させていくということはとっても大切です。

やってしまいがちなミスがいいですね。

入浴介助中に爪を切り忘れていて伸びまくっていたことに気付いた!

夜勤明けの食事介助中に眠くて寝てしまっていた!

パッチを上げずにズボンを上げてしまっていた!

こんなミスが言える職場なら『僕たちがやりました』と言いやすくなるはずです。

まずは『僕たちがやりかけました』から言いやすくしましょう!

上司が率先してミスを発信する

これはとても大切なことで、チームをまとめる立場になった私も心がけていることです。

それこそ前述したようなミスをやってしまったときは堂々と皆に言います。

上司・先輩が完璧すぎるとミスを言いにくくなるもので、そういう組織は隠ぺい体質になりかねません。

もちろんミスが少ないということはいいことなのですが、人間は必ずどこかにミスしやすい部分をもっているものです。

「あれだけ完璧なのに、そこはええ加減なん??」

・・・というような一面をどこか人間は持っていて、そんな一面を皆に暴露してしまうほうがよく、その方が確実にチームはまとまっていきます。

そんな抜けた部分がある上司や先輩のほうが人は付いてきてくれます。

何より、上司や先輩が率先してミスを発信してくれると、職員は「僕たちがやりました」と言いやすくなるはずです。

やっちゃいけないことはルール化していく

職員のミスが表面化していくなかで、「それはさすがにあかんやろ・・・」というミスというより常識を逸脱したような行為が見えてくることがあります。

常識を逸脱したような行為については、やってはいけないこととしてルール化していきます。

ここで言う常識というのは介護という仕事としての常識と捉えてください。

例えばこんなルールです。

車イスを2台同時に押してはいけない。

立ったまま食事介助をしてはいけない。

こうしたルールをチームの中で話し合い、一つ一つルール化していくことが一番です。

押し付けルールは守られません。

皆で決めたルールは守ろうとするものです。

もし、後から異動してきた職員がそのルールに疑問があるようなことがあれば、その都度話し合いをしていけばよいのです。

何より、ミスが言いやすい職場でのルールは守られやすいものです。

きっと職員に安心感が働くんだと思います。

職員を守る風土がある

職員が守られる職場は安心感があります。

例えば、やってはいけないことをルール化するということは、逆に言えばルールに基づいて仕事をしていれば職員は守られるということです。

ルール化は職員を守ろうとする会社の意思表示でもあります。

だから、マニュアルの整備は重要なのです。

マニュアル以外でも、いろんな取り組みが職員を守ることにつながります。

人材育成も人材確保も労働安全衛生も。

すべての取り組みが職員を守ることにつながり、その安心感が結果オープンな組織となり、職員の心もオープンになっていくのだと思います。

まとめ

介護現場から『僕たちがやりました』をなくすためには、『僕たちがやりかけました』という未遂の時点での対策が必要となります。

その第一歩が「ミスが言える」ということです。

リスクマネジメントをしているという施設も、「ミスが言える」ための取り組みというのは不十分な施設が多いように思います。

介護現場には当たり前になってしまっているような「ミス」もあって、その「ミス」が放置されているようなことが多々あります。

ボーっとしていてはいけないのです。

ここ最近の介護事故の話をすると、どうしてもネガティブな印象を与えてしまいますが、多額の損害賠償請求をされるケースというのは極めてまれです。

ただ、そうしたケースは増えていく可能性があり、それは介護業界だけの問題ではありません。

時代の流れです。

そうした時代であることを踏まえて、施設がリスク管理にどれだけ真剣に取り組めるかが問われています。

 

この記事を読んでいただいた皆様が自分のミスを各職場で発信していく勇気が第一歩かもしれません。

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