どうも、YO-PRINCEです。
今回は、こちらのツイートの解説をしたいと思います。
なかなかトイレに座っても排尿がない認知症の利用者さん
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2019年8月24日
トイレットペーパーをたたんで渡した上で「すんだらこれで拭いてください」と伝えるとすぐに排尿あります!
今のところ5座数5排尿の10割です🚽#介護にまつわる小さな引き出し
ツイッターを始めて、一番注目されたツイートとなりました。
思いつきそうで思いつかないような工夫こそが、介護に大きな力を与えてくれるということを多くの介護士さんが知っているということだと思います!
では、この介護に至った経緯なども含めて解説していきたいと思います。
- 排せつの姿勢を作り排せつに意識を向ける
- 他の利用者のケアで思いめぐらしたこと
- 「紙」の力で「神」がかり的な排泄ケアを編み出す!
- 一つ先のことを伝えることでその直前のことがしやすくなる心理的効果
- まとめ
排せつの姿勢を作り排せつに意識を向ける
トイレに座るけどしゃべったり手でゴソゴソしたりで排尿ない認知症の方にはこれ↓
— ヨウ-P@介護福祉士×ブログ漫才師 (@s_y_prince) 2019年1月11日
①背中をそっと押して前傾姿勢
②両手をそっと握って両手の動きを止める
③何も声をかけず静かな環境を作る
かつ、行動抑制にならんように優しさ込める
結構な確率で出ること多い#介護にまつわる小さな引き出し
こちらのツイートが冒頭ツイートのAさんに最初にとっていた介助方法です。
トイレに座ってもしゃべったり服を触ってみたりと排せつに意識が向いていない様子のAさんでした。
当然なかなか排尿はありません。
多くの介護士さんがここで誤解をしてしまいます。
今は出ないときだな・・・。
こう捉えてしまうとその後の工夫は生まれなくなってしまいます。
「出ないとき」と捉えるでのはなく、「排せつに意識が向いていない」ということに気づかねばなりません。
そこに気づいたら、いろいろとやってみます。
最初は、トイレに意識を向けるためにトイレに来たことを伝えたりとありきたりのケアを施してみるも、成功したり失敗したりで不安定な結果・・・。
そして、次に選んだケアが上記のツイートだったのです。
対応をまとめると以下のとおりです。
①前傾姿勢をとって排せつに集中しやすくする。
→前傾姿勢が排せつするのに適した姿勢なんです!
②両手をそっと握って動きを止めてあげる。
→ごそごそしている状況では集中できないからです。
③何も声をかけず静かな環境を作る。
→介助者の声もAさん自身の声も集中の妨げになってしまいます。
④行動抑制にならないように優しさ込める。
→声かけでしてもらえたらいいんですが、認知症でそれが無理なら行動を抑える介助になってしまうので、そうなると相手に負の感情を与えてしまいます。
この対応がズバリはまり、Aさんはトイレで排尿されることが続きました!
このとき、私の中ではこのケアが最適と捉えていたのですが、どうしても気になっていたのが行動を抑制してしまっている側面が残っていること・・・。
再び試行錯誤を始めることとなりました。。。
他の利用者のケアで思いめぐらしたこと
認知症が重度になればなるほど、声かけ等がその方に届かず介助者のペースになりがちです。
どんどん配慮が欠けていくのです・・・。
そんな時は立ち止まります。
普通の排せつ動作ってどうなんだろう?
どんなことに配慮しているんだろう?
排せつ動作は複数の動作の連続です。
このことについてはこちらの記事にまとめているので、まずはご覧になってください↓
この記事のように排泄動作を細分化して考えて、普通ならしているようなことを考えてみたわけです。
排せつするときは1人でする
やはり、できることなら1人で排せつできる環境を作って集中させてあげたいなと思いますよね。
それが可能な方はそうしていますから。
これまでAさんにしていた介助では排せつ中ずっとそばにいました。
ほんとはその場から離れたほうがいいことが分かっていたのですが、離れるとAさんが排せつに意識が向かないことが分かっていたのです。
手がごそごそしちゃって集中できていなから排尿が出ないことはすでに確認済でした。
じゃあどうしたら一人になって排せつに集中できるんだろう??
そんなことを考えるようになっていました。
無理だと思っていたことを今一度無理と決めつけないことにしたんです。
排せつ前に紙をとる人が多い
ある利用者の排せつ介助では、トイレに座った後に「紙をください」と言われるので紙をたたんで渡していました。
片麻痺の方でうまく紙がとれない方でした。
その方は排せつを済ませて紙で陰部を拭いてからコールをされます。
後始末を済ませてからコールしたいから先に紙が欲しいということだとずっと思っていたのですが、いろいろ考えているうちに先に紙を持つのってもしかして普通にやっていることなんじゃないかと思ったのです。
排せつをするときに、すでに紙を持つことが排せつする前の準備だとすれば、紙を持つことで排泄に意識が向くのでは?・・・そんなことを考えました。
なんなら紙を持つことでゴソゴソしていた手の動きも止まって集中しやすいんじゃないかとも考えたのです。
「紙」の力で「神」がかり的な排泄ケアを編み出す!
さて、ダジャレの見出しで始めます(^_^;)
早速に、排せつ前に紙を渡してみることにしました。
まずトイレに座られたら・・・
トイレに座ったのでおしっこしてもらっていいですよ。
こう声をかけます。
トイレに座ったことを忘れてしまっている様子なので、まずトイレに座ったことをもう一度伝えます。
そして、一番その方に伝わりやすい「おしっこ」という言葉で「おしっこをしてもいい」ことを伝えます。
これだけでは認知症のAさんには伝わりようは不十分だろうと思っていたところへ、伝家の宝刀「トイレットペーパー」すなわり「紙」を渡します。
そして、こう声をかけます。
おしっこがすんだらこの紙で拭いてくださいね。
この具体的かつ丁寧な声かけがみそです。
なんならこのときに、股のほうを指さして伝えておいて、Aさんの目を陰部の方に向けさせておきます。
そして、しっかりと両手に紙を握ってもらいます。
で、そっとその場を離れる・・・。
数秒後、おしっこの音がして毎回ガッツポーズ!
現在、5座数5排尿の10割・・・というわけです!
まさに、この「紙」は「神」です!
神技と言ってもよいでしょう!
一つ先のことを伝えることでその直前のことがしやすくなる心理的効果
この対応をやってみながら思ったことがあります。
おしっこがすんだらこの紙で拭いてくださいね。
この声かけに、何か心理的な効果を感じたのです。
今からおしっこをしてほしいわけですけど、お願いしているのは「紙で拭く」ことなんです。
こういうやりとりって普段からよくしていると思いませんか?
例えば・・・
ここの掃除済んだらあそこの掃除お願いね!
今している仕事終わってからでいいからこのコピー頼むね!
今からしようとしていることの次のことをお願いすることって日常で多々あると思うんですが、そう言われるとこう思いますよね?
この掃除はよ済ませんとな~
コピーより今はこの仕事をせんと!
今しないといけないことに意識を向けやすいと思うんです。
その方は重度の短期記憶障害はあるものの今言われたことの理解はできる方だったので、おそらくそうした効果が働いているのではって思うんですよね。
だとしたら、この技術はかなり高度な技術なのでは・・・とも思えてきます。
まとめ
排泄ケアは介護のなかでも一番難しい介護だと思います。
排泄ケアを制する者は介護を制すると言われることもあります。
こうした試行錯誤の背景には、私の中で描く「理想のケア」があります。
介護現場は「現実」ばかりに目が行きがちですが、やはり「理想」を描いておくことが必要なことと思います。
「理想のケア」というのは、決して介護の手間を増やすことばかりではありません。
介護はそもそも「自立支援」ですから、できるだけその方の力を使って「楽」をしようというのが「理想」です。
だから、介護においては「理想」を描くべきだと思っています。
今回の排泄ケアも、「理想のケア」の追求から生まれたもの!
皆様もぜひ介護におけるいろんな工夫をしてみてください!
そして、ツイッターの「#介護にまつわる小さな引き出し」で共有していきましょう!
ステキなケアが広がっていくはずです!
参考までに他の排泄ケアの記事ものぞいてみてください↓